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今日から使える和訳の極意 - 英日翻訳Tipsカテゴリのエントリ

Tip 6: 形容詞の all は副詞的に訳す

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-4-1 16:50

次の例文のように、all が形容詞として用いられているケースは少なくありません。 

 

To select all the files in the list, click the check-box in the title row of the list.

 

(○) リスト内のすべてのファイルを選択するには、リストのタイトル行にあるチェックボックスをクリックします。

 

all は the files という名詞を修飾するので、「すべてのファイル」で何も問題ないのですが、副詞として処理した方が、日本語としての自然度が若干上がるように感じます。

(◎) リスト内のファイルをすべて選択するには、リストのタイトル行にあるチェックボックスをクリックします。

 

このような all の副詞的処理にはもう 1 つ、訳文が作りやすくなるというメリットがあります。英文は、前置詞+ 名詞という組み合わせが非常に多いので、「... の」という文節が生まれやすいのです。

 

an unexpected change in temperature within the test tube みたいなフレーズが典型例で、まともな翻訳者であれば、「試験管内温度想定外変化」みたいな訳に頭を抱えた経験があると思います。

 

「すべての○○」を「すべて○○する」に変えることにより、「の」で終わる文節を 1 つ減らすことができ、訳文の自然度を上げやすくなるというわけです。

 

all よりも頻度は落ちますが、some についても概ね同じことが言えると思います。

become は、解釈する分には、「... になる」で概ね事足ります。

 

 


  • become larger - 大きくなる

  • become invisible - 見えなくなる

  • become weaker - 弱くなる

 

しかし、翻訳時にこの手法を短絡的に適用するのは少々拙速です。「... になる」は非常に便利で簡単ですが、ワンパターンで洗練度を欠くからです。文の述語には、やはり具体的で力強い言葉を使いたいものです。

 

ex.) Fixed wing gliders have become larger and heavier as more electronic systems are added.

(△) 固定翼グライダーは、搭載される電子装置が増えるにつれて大きく重くなってきた。

 

ではどうすれば良いか。有効な方法の 1 つは、漢語表現を使うというものです。

 

「大きくなる」を例にとりますと、「巨大化する」、「肥大化する」、「大型化する」、「拡大する」など、様々な表現があり、いずれも「大きくなる」より具体的で力強く、洗練された感じがします。

 

上の例文なら、「大型化」が良いでしょう。

 

(○) 固定翼グライダーは、搭載される電子装置が増えるにつれて大型化し、重量も増した

 

「見えなくなる」についても、「列車が遠ざかるにつれて彼の姿は小さくなり、そして見えなくなった。」のような物語文ならまったく問題ありませんが、「視界から消える」と言い換えることもできますし、主語によっては「潜在化する」などにと言い換えることによって文が引き締まります。

 

意識することはできても、なかなか言葉が思い浮かばないということもあるでしょう。私の場合は、最初に「○○化する」という言葉がないか最初に考えてみることにしていますが、「○○化」も、技術分野以外では有効でないケースが少なくありません。

 

行き詰まったときには、類語辞典が役に立ちます。CD-ROM 形式の辞書も販売されていますが、weblio の類語辞典は、無料で利用できる上に実用性も高く、お薦めです。

 

逆に英訳の場合には、「become + 形容詞」に頼り過ぎない方が良いでしょう。「大きくなる」なら、grow in size とか、態を変えて enlarge や magnify、expand を使ったり、文脈によっては swell なども使えるでしょう。

oftenを「しばしば」と訳す受講生が後を絶ちません。

 

 

ex.) Radioactive waste with a short half-life is often stored temporarily before disposal in order to reduce radiation doses to workers. 

 

(△) 半減期の短い放射性廃棄物は、作業員が被爆する放射線量を減らすために、廃棄する前に一時的にしばしば保管される。

 

oftenは、中学1年生の教科書に出てくる優しい単語であるが故に、その時に覚えた訳語がいつまで経っても頭から離れないのでしょう。

 

しかし、「しばしば」なんていう言葉を私たちが日常生活の中で口にすることはほとんどありませんし、技術的な内容の文章で使うにしても、洗練されているとは言い難い表現です。

 

oftenは言うまでもなく副詞なのですが、翻訳の際には副詞として処理するよりも、述語として文末で使用すると上手くまとまる傾向があります。

 

その場合には、「...ことが多い」と訳すと良いでしょう。

 

(○) 半減期の短い放射性廃棄物は、作業員が被爆する放射線量を減らすために、廃棄する前に一時的に保管されることが多い

 

ずいぶん良くなりました。しかし、放射性廃棄物を処理する順序は、stored -> disposal ですので、その順序で訳すとさらに良いでしょう。

 

(◎) 半減期の短い放射性廃棄物は、作業員が被爆する放射線量を減らすために、一時的に保管した後に廃棄することが多い

次の例文における「Founded in August 1937,」という一節は分詞構文と呼ばれ、接続詞と主語が省略された一種の節であるというのは、みなさんもよくご存知のことと思います。

 

 

例 :

Founded in August 1937, the Toyota Motor Corporation has grown to be a world leading car manufacturer with more than 70 000 employees and sales representatives around the world.

 

(△) 1937 年 8 月に設立され、トヨタ自動車は、今や 70,000 人以上の従業員を擁し、世界中に販売店を持つ世界有数の自動車メーカーへと成長しました。

 

文法的には副詞節なのですが、訳出の際にはその点にはあまりこだわらず、むしろ主語を修飾する形容詞節として処理した方が、自然な感じに仕上がることが多いような気がします。

 

(○) 1937 年 8 月に設立されたトヨタ自動車は、今では 70,000 人以上の従業員を擁し、世界中に販売店を持つ世界有数の自動車メーカーへと成長しました。

 

さらにもう一工夫して、「1937 年 8 月創業の」としても良いでしょう。

 

実務翻訳では、例文のような企業案内の冒頭文で、この種の分詞構文が頻繁に使われるようです。

Tip 2: moreとlessは動詞的に訳す

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-1-24 16:40

言うまでもなく、more は many/much の、less は little の比較級です。

 

 

そのため、「より多くの」とか、「より少ない」と訳しがちなのですが、翻訳という観点から見ると、あまり良い処理方法ではありません。

 

例 : The trials are designed to research into how best to create more space and produce more shots on goal.

 

(△) トライアルの目的は、より多くのスペースを創り出し、より多くの枠内シュートを生み出すためにはどうするのがベストかを研究することである。

 

「より...」と訳された文は、いかにも、

 

「比較級を習ったばかりの中学生が精一杯訳しました」

 

という印象を与えます。

 

more や less は、「増える (増やす)」または「減る (減らす)」などの動詞を使って訳すのがコツです。

 

(○) トライアルの目的は、スペースと枠内シュートを増やすためにはどうするのがベストかを研究することである。

 

fewer、higher や lower などについても同様のことが言えます。

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Tip 1: ensureは副詞的に処理する

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-1-5 16:40

手順書などで頻繁に使われるensure。目的語にthat節を伴うのが一般的な用法です。

 

 

例: You must ensure that all the terminals and cables are disconnected before carrying out any insulation tests.

 

ensure自体は動詞であり、「確実にする」、「確保する」、「保証する」などの訳語が辞書には掲載されていますが、文字通りに訳そうとすると、いま一つ上手くいきません。

 

(△) 絶縁試験を行う前に、端子とケーブルがすべて取り外されていることを確実にする必要があります。

 

ensureは、「確実に」や「必ず」という具合に、副詞的に処理した方が自然にまとまる傾向があります。

 

(○) 絶縁試験を行う前に、すべての端子とケーブルを確実に取り外してください。

 

これなら悪くありませんが、作業の順番としては、disconnectが先で、carry out an insulation test が後ですので、訳文でも、その順序で情報を出していくと、さらに良いでしょう。

 

(◎) 必ず端子とケーブルをすべて取り外してから、絶縁試験を行うようにしてください。

 

文脈によっては、「必ず」という言葉を敢えて 明示しない方が良いでしょう。

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