• カテゴリ 英日翻訳Tips の最新配信
  • RSS
  • RDF
  • ATOM

今日から使える和訳の極意 - 英日翻訳Tipsカテゴリのエントリ

【例文1】

The biodiversity forms the web of life of which we are an integral part and upon which we fully depend. 

(△) 生物多様性というものは、生命が網目のように繋がり合ったものを形成し、私たち自身その不可欠な一部であり、完全に依存するものでもあります。

 

 

ツッコミどころ満載の拙訳ですが、今回強く取り上げたいのは、「もの」という言葉です。

 

「もの」や「こと」という言葉は汎用語彙であり、文脈を問わず使えて便利なのですが、表現の洗練度を損ね、訳文を冗長化するという弊害があります。

 

ほとんどの状況で、「もの」や「こと」を使わなくても訳文は書けますし、その方がすっきりします。上の訳文なら、次のように書き換えてみたら良いのではないでしょうか。

 

(○) 生物多様性は、生命体を網目のように繋ぎ合わせている。そして私たちは、この網と一体化しており、完全に依存している。

 

文脈的に問題なければ、主語を「私たち」に一元化することにより、さらに簡潔に訳すことができます。

 

(○) 私たちは、生物多様性が形成する生命体の網と一体化しており、完全に依存した存在である。

 



翻訳時に「もの」や「こと」をつい使いたくなる単語の代表格がwhatです。

 

【例文2】

Browsing the web with a text editor sometimes allows you to better understand what the author really means without the distraction of images.

(○) 場合によっては、Webをテキストエディタで閲覧した方が、画像に煩わされず、作者が本当に意味することをよく理解できます。

 

(◎) 場合によっては、Webをテキストエディタで閲覧した方が、画像に煩わされず、作者の真意をよく理解できます。

 

 

動名詞もつい「〜すること」と訳したくなりますが、時には名詞化が有効です。

 

【例文3】

Drinking tea regularly can inhibit LDL cholesterol from building up in arteries.

(○) 茶を定期的に飲むことにより、LDLコレステロールが動脈内に蓄積されることを抑えることができます。

 

(◎) 茶を定期的に飲むことにより、動脈内でのLDLコレステロールの蓄積が抑制されます

 

ただし、過剰に名詞化すると文が重たくなりますので、ドキュメントの性質や想定される読者などを考慮して、適切な重さを見極めることも大切です。

 

いずれにせよ、汎用語彙に頼らず、具体的かつ限定的な訳語を選ぶというのは、翻訳者としての基本的な心得だと思います。

Tip 15: available を訳すための3つの戦略

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-10-24 17:10

available は、翻訳者にとって厄介な単語の 1 つです。受講生の訳文を見ていると、「利用可能」や「入手可能」という訳語が頻繁に見られますが、これらの訳語選択が有効であるケースは稀です。

 

 

【例文 1】

LED products are available in different styles, sizes & specifications.

 

(△) LED 製品は、さまざまなスタイル、サイズ、仕様で入手可能です。

 

意味としては間違っていませんが、「入手可能」は重すぎです。論文や特許明細書なら話は別ですが、一般論としては、もう少し柔らかい言葉を使うのが良いでしょう。

 

(○) LED 製品には、さまざまなスタイル、サイズ、仕様のものがあります

 

available を訳出するに当たっては、文脈に応じて、次の 3 つの戦略を使い分けるのが良いでしょう。

 

 

 

1. 主語を「商品やサービスの提供者」に変換する

 

【例文 2】

These programs are not only available on our own farms but also on our independent producers' farms.

 

(△) これらのプログラムは、当社が所有する農場だけでなく、当社が契約している個人経営の農場でも利用可能です。

 

(○) 当社では、これらのプログラムを、自社所有の農場だけでなく、当社が契約している個人経営の農場にも提供しています

 

「当社では」と表記していますが、実質的には「当社は」という主語を立てていることが理解できると思います。

 

主語を「人」に変換した場合には、「提供している」や「用意している」、「取り揃えている」、「取り扱っている」などの訳語が比較的有効です。

 

 

 

2. 主語を「消費者」に変換する

 

【例文 3】

More detailed specifications are available from your local sales representative.

 

(△) さらに詳しい仕様書が、お近くの販売代理店より入手可能です。

 

(○) さらに詳しい仕様書をご希望の方は、お近くの販売代理店までご請求ください

 

このような場合には、「選択する」や「購入する」、「請求する」などの訳語が比較的有効です。ビジネス文書では、消費者 = お客様であることが多いので、これらの動詞を丁寧語で訳すようにしましょう。

 

 

 

3. 主語を変換しない

 

【例文 4】

A wide range of peripherals with varying capabilities are now available in the market.

 

(△) さまざまな機能を備えた多様な周辺機器が市場で入手可能です。

 

(○) さまざまな機能を備えた多様な周辺機器が市場に流通しています

 

英文と同じ主語とを使うにしても、「... 可能」では響きが少々重すぎます。「流通している」、「出回っている」、「提供されている」、「ある/存在する」といった訳語が比較的有効でしょう。

 

 

 

どの戦略が有効かは、「そのドキュメントを書いたのが誰か」を考えれば自ずと判断できるはずです。

 

いずれにせよ、大切なのは、昔習った訳語をノーアレンジで使ったり、辞書に載っている訳語をそのまま貼り付けたりせず、文脈をよく見て、訳語を吟味することです。

  • コメント (0)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (1331)

Tip 14: 副詞は述語化して訳す

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-9-10 17:10

英文の副詞を日本語でも同じように副詞扱いで訳そうとすると、何となく不自然な響きになることが多いようです。



【例文1】

Fuel cells produce electricity through a special process which mixes hydrogen (H) and oxygen (O). Most importantly here, however, no hazardous waste products are produced.

 

(△) 燃料電池は、水素と酸素を混合する特殊なプロセスによって発電する。しかしここで最も重要なことに、有害な廃棄物が一切出ない。

 

高校の授業なら丸がもらえると思いますが、不自然極まりない和文です。Most importantly を文末で述語として訳してみましょう。

 

(○) 燃料電池は、水素と酸素を混合する特殊なプロセスによって発電するが、有害な廃棄物が一切出ないという点が、ここでは最も重要である

 

他にも generally や normally など、文頭の副詞は、「一般的である」や「通例である」といった具合に述語化すると自然な訳に仕上がることがあります。

 

【例文2】

In 1969, ARPANET (an early form of the Internet) first connected computers at four American universities. One computer successfully sent information to another.

 

(△) 1969年に、ARPANET (インターネットの前身)により、米国の4つの大学で初めてコンピュータどうしが接続された。コンピュータが別のコンピュータに成功裏に情報を送信したのである。

 

successully を和訳時にも副詞扱いで訳そうとすると、「成功裏に」か「うまく」あたりになるかと思いますが、「成功裏に」だと響きが大げさすぎ、「うまく」だとくだけすぎているという問題に直面します。こんなときには、述語に変換しましょう。

 

(○) 1969年に、ARPANET (インターネットの前身)により、4つのアメリカの大学で初めてコンピュータどうしが接続された。コンピュータが別のコンピュータに情報を送信することに成功したのである。

 

なお、successfully を副詞として訳す場合であっても、「成功」に固執せず、「正常」も選択肢に入れましょう。次のような文であれば、訳文でも副詞扱いにした方が良いでしょう。

 

【例文3】

When the plug-in is successfully installed, restart your browser, and return to this page.

 

(△) プラグインをインストールすることに成功したら、ブラウザを再起動し、改めてこのページにアクセスします。

 

(○) プラグインが正常にインストールされたら、ブラウザを再起動し、改めてこのページにアクセスします。

 

 

 

少々蛇足気味になりますが、ネイティブがよく使う in my opinion も、

 

【例文4】

Frankly speaking in my opinion, she is fashionable yet maintains an air of decency.

のような文なら、

 

(△) 率直に言って、私の意見では、彼女はファッショナブルでありながらも、上品な雰囲気を兼ね備えている。

 

なんて重々しく訳すのではなく、上記のテクニックを使って

 

(○) 彼女はファッショナブルでありながらも、上品な雰囲気を兼ね備えていると思う

 

くらいにさらっと訳すのが良いんじゃないでしょうかね。

Tip 13: as well as は「追加」です

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-8-24 17:00

【例文 1】

The Silk Road provided a route for information and ideas as well as goods.

シルクロードは、品物のルートであったのと同様に、情報やアイデアのルートでもあった。

 

 

おそらく学生時代の刷り込みによるものだと思いますが、as well as ... を「... と同様に」と訳す人は少なくありません。確かに、各種英和辞典にもそのような訳語が掲載されているのですが、正しくありません。

 

Longman 4th Edition には、as well as が次のように定義されています。

 

「in addition to something or someone else」

 

「in addition to」というフレーズからわかるとおり、as well as は情報を追加するための表現です。

 

一方、日本語の「同様」という単語を広辞苑で調べてみましょう。次のように定義されています。

 

「同じさまであること」

 

まあ文字通りなのですが、「同様」はあくまでも「同じ」と言っているのであって、情報を追加する用法はありません。

 

例文 1 はやはり、

 

「シルクロードは、品物の運搬ルートであっただけでなく、情報やアイデアの伝達ルートでもあった。」

 

とするのが良いでしょう。

 

なお、A as well as B という形は、「必ず B から訳すこと」と習った人も多いと思いますが、単なる and の代替として使われているだけという場合も少なくありません。そういう状況では、A から訳しても特に差し支えなく、次の例文のようなケースでは、むしろ A から訳した方が良いでしょう。形式に固執するのではなく、文脈を良く見て判断することが大切です。

 

【例文 2】

BP as well as other major oil companies resisted the new regulation.

= BP and other major oil companies resisted the new regulation.

(△) 他の大手石油会社だけでなく、BP もその新規制に反対した。

(○) BP だけでなく、他の大手石油会社もその新規制に反対した。

 

少し話が逸れますが、A and other B を「A およびその他の B」と訳すのは、いかにも「英文を和訳しました」という感じがして、お薦めできません。「A を始め (とする)」のように訳すと、洗練度が増します。したがって【例文 2】は、文脈によっては、次のように訳すこともできるでしょう。

 

(◎) BP を始めとする大手石油会社各社がその新規制に反対した。

Tip 12: 具体例は原則として先に訳す

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-7-24 17:00

英語では一般に、包括語を明示した後に、such as や including を使って具体例を述べます。

 

 

【例1】

People who exercise tend to live healthier lifestyles in general, such as drinking less alcohol and refraining from smoking.

 

和訳時には、文が多少長い場合でも、具体例を先に述べ、包括語を後にするのが良いでしょう。

 

(〇) 運動をしている人は、酒量が少ない、喫煙しないなど、一般に健康的なライフスタイルを送る傾向がある。

 

【例2】

We are researching how multiple genes work together to create increased risk for common adult diseases including heart disease, cancer, and diabetes.

 

(〇) 私たちは、複数の遺伝子がどのように連動して、心臓病、ガン、糖尿病などの一般的な成人病に対するリスクを高めているかを研究しています。

 

「including」に対して、常に「...を含む」という訳語を当てる人も少なくありませんが、契約書など、よほどいかめしい内容の文章でない限り、「...など」くらいで良いでしょう。「...といった」は少し口語的ですので、使用時には注意が必要です。「...などといった」という訳も時折見かけますが、冗長ですので止めた方が良いでしょう。

 

包括語と具体例は、必ずしも1文に収まっているとは限りません。for example が典型例です。

 

【例3】

Setting appropriate goals can help beginners avoid frustration and stick with the program. For example, if you've never run before for exercise, your goal might be to "run 5 minutes today.

 

このような場合には、英文と同じように区切るのが良いでしょう。

 

(〇) 初心者であれば、適切な目標を設定することが、ストレスを避け、プログラムを最後まで続ける上で有効な場合があります。たとえば、運動のために走ったことのない方であれば、今日は5分間走ることが目標ということでもよいでしょう。

 

具体例が独立しているケースは他にもあります。例示のしかたにも色々な形があることがわかりますね。

 

【例4】

You must be careful, the ground is covered with the snoe and you don't want to slip and fall. Avoid running into objects in and around the park. This includes playground equipment, snow walls, trees and other kids.

 

【例5】

Sometimes people leave a personal record of events in which they have taken part or that they have witnessed. Examples of these are letters, emails, diaries, photographs and daily planners.

 

これらの形を処理する方法については、残念ながらまだ考えがまとまっておらず、実務でも行き当たりばったりで処理しています。いつかきちんと考えをまとめ、テキストにして授業で提示したいと思います。

Tip 11: cause = 「引き起こす」は短絡的

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-6-30 17:00

受講生の答案を見ていると、cause を「引き起こす」と訳しているケースが頻繁に見られます。

 

 

先日の授業でも、

 

Most drain clogs are caused by the gradual accumulation of organic matter, hair and grease on the inside walls of drainpipes. 

 

という文に対し、

 

大抵、排水管がつまるのは、パイプの内側の面に、有機物や髪の毛、油分などが、少しずつ溜まっていくことにより引き起こされます。

 

という答案がありました。

 

高校の英語の授業ならそれでも良いかもしれませんが、翻訳としてはイマイチです。なぜなら、日本語で「...が詰まるのは、...によって引き起こされる」とは決して言わないからです。「...によって...が詰まる」と言うのではないでしょうか。

 

英文を理解する段階で「...を引き起こす」と頭の中で解釈する分には何も問題ないのですが、訳出するにあたっては、主語や目的語との親和性を考え、自然なコロケーションを作りましょう。

 

cause の目的語は無数にありますが、一般的な組み合わせをいくつか紹介します。

 

- cause confusion

 

  (△) 混乱を引き起こす  (〇) 混乱を招く

 

- cause a crisis

 

  (△) 危機を引き起こす  (〇) 危機をもたらす

 

- cause an explosion

 

  (△) 爆発を引き起こす  (〇) 爆発する/爆発に至る

 

- cause health problems

 

  (△) 健康上の問題を引き起こす  (〇) 健康上の問題を招く

 

- cause economic damage

 

  (△) 経済的被害を引き起こす  (〇) 経済的被害をもたらす

 

- cause a disaster

 

  (△) 災害を引き起こす  (〇) 災害を招く/もたらす

 

 

どうやら、「引き起こす」よりも「招く」や「もたらす」の方がしっくり来るケースが多いようです。

 

cause は、目的語の後に不定詞を伴う用法で使われることも少なくありません。このような場合、cause は単に原因を表しているだけで、実際の結果は to不定詞によって表されますので、訳出時には、cause ではなく、to 不定詞を述語動詞にすると良いでしょう。

 

ex.) A wet road surface can cause wheels to slip and the brakes to work improperly.

 

(△) 濡れた路面は、タイヤをスリップさせ、ブレーキが正常に作動しない状態を引き起こす場合があります。

 

(〇) 路面が濡れていると、タイヤがスリップし、ブレーキが正常に作動しない場合があります。

 

文脈によっては、「原因」という言葉を明示してもOKです。

 

(〇) 濡れた路面が原因で、タイヤがスリップし、ブレーキが正常に作動しない場合があります。

 

cause のように、学生時代の刷り込みによって柔軟な訳語選択ができなくなってしまっている単語や表現は他にもありますので、別の機会に紹介しましょう。

Tip 10: 「また」は文頭でのみ使う

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-6-10 17:00

次の例文のように、情報を追加する接続詞の「また」を文中で使う人は少なくありません。

 

 

【例1】

この方法は成長期の誘導効果を検討することに対しては適しているが、成長期の延長効果を検討することは煩雑であり、また困難である。

 

しかし、「...であり」という連用形に、情報の追加を示唆する効果があるので、このような文中の「また」は、不要であるケースが大半です。

 

【例1A】

この方法は成長期の誘導効果を検討することに対しては適しているが、成長期の延長効果を検討することは煩雑であり、困難である。

 

ただし、これだと少し淡白すぎて、「困難である」をもう少し強めたい場合もあると思います。そのような場合には、「しかも」を使うのが良いでしょう。

 

【例1B】

この方法は成長期の誘導効果を検討することに対しては適しているが、成長期の延長効果を検討することは煩雑であり、しかも困難である。

 

「また」は、やはり文頭に限って使うのが良いでしょう。

 

【例2】

ブラジル銀行は、ブラジルを始め、様々な国への海外送金サービスを提供している。また、海外留学をする日本人学生向けの国際送金サービスも行っている。

 

「また」を文頭で使う場合には、【例2】のように、必ず読点と一緒に使うようにしましょう。そうでないと、追加情報が曖昧になります。

 

【例2A】

ブラジル銀行は、ブラジルを始め、様々な国への海外送金サービスを提供している。また海外留学をする日本人学生向けの国際送金サービスも行っている。

 

このような文が、受講生の答案に広く見られますが、「もう一度留学する日本人学生」という意図しない解釈が生まれてしまい、書き手の意図が伝わりにくくなります。

 

もう1点。「また」ばかりを使う人がいますが、情報を追加する接続詞は、「さらに」、「その上」、「加えて」、「しかも」など他にも多数ありますので、これらを混じえて使うのが良いでしょう。英語でも、also に加え、in addition、furthermore、besides、moreover、as wellなどバリエーション豊富です。

まずは次の例文とその訳例を見てください。 

 
【例1】
Experts say long-term stress can weaken your resistance to infections such as colds and influenza. 
【訳例1】 
長期的なストレスによって、風邪やインフルエンザのような感染症に対する抵抗力が弱まる場合があると専門家は言う。
 
特に大きな問題があるというわけではないのですが、「...のような」という言葉が、具体例を述べる目的で使用されています。では、次の例文とその訳例を見てください。
 
【例2】
Ancient people conceived of the universe as a mechanical structure like a clock. 
【訳例2】 
太古の人は、宇宙を時計のような機械的構造物と認識していた。
 
ここでは、「...のような」は類似を表します。つまり、「...のような」には2つの意味があるということです。そのため、1文の中で2つの意味が混在した場合には混乱が生じます。
 
【例3】
The present invention is related to an anchor for a membrane, such as a rubber or rubber-like membrane sheet. 
【訳例3】
本発明は、ゴムまたはゴムのような薄膜シートのような薄膜に使用するアンカーに関する。
 
極端な例かもしれませんが、よく似た文が実在します。
 
したがって、翻訳の際には、「...のような」は似ているときに限って使用し、例示する場合には、「...などの」や「...といった」を使うようにすると良いでしょう。
 
【訳例3の改善案】
本発明は、ゴムまたはゴムのような薄膜シートなどの薄膜に使用するアンカーに関する。

Tip 8: 「より」を乱用しない

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-5-1 16:50

「より」という言葉には、2通りの用法があります。

 

 

例1: 円周率は3.14より大きい。(比較)

例2: 円周率は円周を直径で割ることにより求めることができる。(手段)

 

そのため、翻訳時には注意が必要で、特に助詞の「に」に接続する場合は要注意です。「比較」なのか「手段」なのか、読み手が迷うからです。

 

例3:

SSIが埋め込まれたHTMLファイルにアクセスすると、サーバにより大きな負荷がかかります。

 

解釈1: 「サーバにより」(ユーザーに)大きな負荷がかかります。

解釈2: サーバに「より大きな」負荷がかかります。

 

コンピュータに詳しい人から見れば、解釈2が正解であることは瞭然ですが、そうでない人には分かりにくいでしょう。

 

翻訳実務においては、比較級を訳す際に、このような曖昧な文が生成されやすいようです。

 

ちなみに、上記訳例の原文は次のような感じになるでしょう。

 

Accessing an SSI-embedded HTML file places heavier burden on the server.

 

訳す本人は原文を見ているので、「解釈2」しか思い浮かびません。そこが盲点です。

 

この問題を避けるには、次のような方策が有効です。

 

1) 比較級を短絡的に「より...」と訳さない

 

比較対象を明示して、「以前より」とか「これまでより」といった形に持って行っても良いし、文脈によっては「より」を明示しなくても良いでしょう。

 

例3A:

SSIが埋め込まれたHTMLファイルにアクセスすると、サーバに大きな負荷がかかります。

 

2) 語順を変える

 

例3B:

SSIが埋め込まれたHTMLファイルにアクセスすると、より大きな負荷がサーバにかかります。

 

3) 訳文の中で比較級を述語として扱う

 

例3C:

SSIが埋め込まれたHTMLファイルにアクセスすると、サーバにかかる負荷が増大します

Tip 7: 「one of the 最上級」の訳し方

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-4-24 16:50

「one of the 最上級」という形を見ると、反射的に「最も... な○○のひとつ」と訳してしまう人は少なくないでしょう。

 

 

ex.) With about 500,000 employees in more than 220 countries, Deutsche Post DHL is one of the largest courier service providers in the world.

 

(△) 220 か国以上に約 50 万人の社員を抱えるドイツポスト DHL は、世界で最も大きな国際宅配便業者のひとつです。

 

もちろん、意味的にはまったく問題ないので、ダメというわけではないのですが、翻訳という視点から見ると、なんとなく冗長で、ありきたりな感は否めません。また、「世界で最も...」と力強く言い放っておきながら、「... のひとつ」とトーンダウンする感じに、何となく釈然としない思いを抱く人も多い...とまではいかないかもしれませんが、少なくとも私だけではないと思います。

 

次のような表現を使うと、すっきりと洗練された自然な訳ができるでしょう。

 

(○) ... ドイツポスト DHL は、世界有数の国際宅配便業者です。

(○) ... ドイツポスト DHL は、世界屈指の国際宅配便業者です。

(○) ... ドイツポスト DHL は、世界でも指折りの国際宅配便業者です。

(○) ... ドイツポスト DHL は、世界最大級の国際宅配便業者です。

 

「最大級」という表現は、biggest か largest の場合に限られ、あまり応用の幅がありません。私自身は、「有数の」が使えるかどうかを最初に考えてみることにしています。

 

述語についても一言。「…です。」でも問題ありませんが、文脈によっては、「…に数えられています。」などとしても良いでしょう。

ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失

関連リンク

リンゴプロ翻訳サービス

リンゴプロ翻訳サービスは、中村が代表を務めている翻訳会社です。