今日から使える和訳の極意 - 最新エントリー

今回は、make と並んでもう 1 つのメジャー使役動詞である cause について考えてみましょう。

先日の課題に、cause が使役の意味で使われている典型的な文がありましたので、抜粋します。

【例文 3】

At this stage, the beer is cooled to around freezing, which encourages settling of the yeast, and causes proteins to coagulate and settle out with the yeast.

この一文に対し、

【訳文 3】

(△) この段階では、ビールが氷点付近まで冷却され、これが酵母の沈殿を促し、タンパク質を凝固させ、酵母とともに沈殿させます

というような訳文も見られましたが、cause something to do … という形で使われている場合には、確かに「something を…させる」という意味なのですが、「something が…する」という能動態に持っていけるケースが大半です。

【例文 3】は次のように訳すと良いでしょう。

(○) この段階では、ビールが氷点付近まで冷却されます。冷却によって酵母の沈殿が促されると同時に、タンパク質も、凝固して酵母と共に沈殿します

以前の授業でも取り上げたとおり、cause は結果を導く動詞で、主語がその原因・理由を表します。ですから cause の主語は、単に英語の構文に合わせて「〜は」と訳すよりも、「…によって」、「…が原因で」などの言葉で、原因や理由であることを明確に表した方が上手く収まるでしょう。


 

英語では、自動詞を他動詞として使いたい場合に、使役動詞を使います。使役動詞の代表例が make で、cause が使われることもあります。

【例文 1】

We all understand that we need a major structural change in our company. The question is how to make the change happen.

和訳時に気をつけたいのは、使役動詞が使われているからといって、むやみに「〜させる」と訳さないということです。

例えば、【例文 1】を、「問題は、いかにしてその変化を起きさせるかだ。」などと訳すのは、洗練されているとは言えません。

使役動詞が出てきた場合には、「他動詞に変える」ことをまず考えてみましょう。「起きる」は自動詞ですが、この動詞には、「起こす」という他動詞があります。

したがって、【例文 1】は次のように訳せます。

(○) 問題は、いかにしてその変化を起こすかだ。

英文に使役動詞が使われていなくても、日本語だと使役形が使われやすい動詞もあります。improve などはその典型例です。

【例文 2】

We successfully improved the overall system performance by effective load balancing and process migration.

【訳文 2】

(△) 当社は、効果的な負荷配分とプロセス移動によってシステム全体の性能を向上させることに成功しました。

ダメというわけではありませんが、「向上させる」とほぼ同義の他動詞もあります。

【訳文 2 の改善案】

(○) 当社は、効果的な負荷配分とプロセス移動によってシステム全体の性能を高める (上げる) ことに成功しました。

「改善する」も選択肢の 1 つですが、文脈によっては、「それまでが悪かった」というネガティブなニュアンスを帯びることがありますので、注意が必要です。

日本語の「〜させる」という動詞は、「こちらの条件を相手に受け入れさせた」や「食べたものを吐き出させた」など、「無理やり」とか「強引に」というニュアンスで使うことも多い上に、音律的にもあまり美しくないように思います。

したがって、「〜させる」と訳すのは、最後の手段と考えるのが良いでしょう。

英文を何となく訳していると、やたらと「の」を使ってしまいがちです。

たとえば、

We conducted a study on the effect of a sudden increase in temperature of the irradiated fuel.

という一文が、

私たちは、照射剤燃料突然温度上昇影響について研究を行った。

になってしまうような場合です。

これは極端な例ですが、和訳の中でやたらと「の」が多用されてしまう理由ははっきりしていて、それは、英語の前置詞に対して「の」を当てるのがとりあえずラクで無難だからです。

「の」という助詞は、色んな概念を表せる万能語で、実に便利です。ざっと思い浮かぶだけでも、

  • 私の車 - 所有
  • 昆虫の研究 - 対象
  • 変化の影響 - 原因
  • 日本の失業率 - 場所
  • 桜の有名な町 - 主語
  • 衣服の汚れ - 付着

などの用法を挙げることができます。

こんな具合ですので、原文が in でも of でも for でも with でも、とりあえず、「の」と訳しておけば、「所有」とか「対象」とかいった面倒なことを考えなくてもとりあえずその場を凌げる。だから増えてしまう。そういう悪循環が生まれてしまいます。

英文は、洗練度が上がるにつれて「前置詞+名詞」という組み合わせが増える、つまり前置詞が増えるわけですが、それに合わせて「の」の使用頻度が増えてしまうと、訳文の質は英文に反比例して下がってしまいます。これはいただけません。

このような問題に遭遇した場合には、次の 4 つの戦略が有効です。これらを組み合わせれば、「の」の連続は概ね解消できます。

【戦略 1】 英文の前置詞に対して動詞を当てる
例: シャツ汚れ -> シャツに付着した汚れ

【戦略 2】 動詞化できる名詞は動詞化する
例: 温度の変化 -> 温度が変化する

【戦略 3】 「の」を省いてひとまとめにする
例: 温度変化 -> 温度変化

【戦略 4】 「の」を別の表現に変える
例: 日本失業率 -> 日本における失業率、突然の変化 -> 急激な変化、変化

これらの戦略を駆使して冒頭の一文を最適化すれば、次のようになるでしょう。

【改善例 1】
私たちは、照射剤燃料の突発的な温度上昇がもたらす影響について研究した。

【改善例 2】
私たちは、照射剤燃料の温度が急上昇した場合にどのような影響が生じるかを研究した。


最初の訳例に 5 個あった「の」が 1 個に減りました。誰が見ても読みやすい和文になったと思います。

【戦略 1】は、原文の内容がよく理解できていないと適切な動詞を案出できないので、文書の内容によっては勇気のいる選択肢ですが、【戦略 1】が巧みに使えると、「自分は文書の内容をよく理解できていますよ」というアピールになります。

逆に英訳の場合には、日本語で動詞を使って表現されている箇所を敢えて前置詞で訳すことができます。高度なスキルですが、使いこなせれば、動詞をその都度使うよりも洗練された英文に仕上がることでしょう。

Tip 23: 主題情報を主語に立てる

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2013-6-23 6:14

和訳のコツを紹介するコーナーですが、例外的に今回は英訳に関するアドバイスです。


和文英訳の際、どの情報を主語に立てるかは、訳文のクオリティを決める非常に重要な要素です。当然のことながら、和文の主語と英文の主語は、必ずしも一致するとは限りません。

 
先日の提出課題に含まれていた次の文を例にとって考えてみましょう。
 
【例文】
原子力発電に対する依存度の低下によって化石燃料の需要が増えてきていることから、次の10年は、エネルギー価格が上昇する可能性が高い。
 
提出された答案のほぼすべてにおいて、「エネルギー価格」が主語として選択され、概ね次のような構文の英文が書かれていました。
 
【訳例1】
Since there is a growing demand for fossil fuels due to the less dependence on nuclear power, energy prices are likely to rise over the next decade.
 
和文では「エネルギー価格」が紛れもなく主語ですので、これはこれで良いでしょう。文法的にも問題ありません。
 
ただし1点だけ付け加えたいのは、英訳時には、「文法的な主語」よりも、「主題情報」を主語にした方が、洗練度が高く、原文が持つニュアンスにも近い英文になることが多いということです。
 
先ほどの例文における主題情報は、「次の10年」です。主題を判断することは、主語を判断することと比べると若干の困難を伴いますが、ざっくりと言えば、「は」という助詞が付いている名詞が概ね主題情報という理解で良いでしょう。和文における主題情報が、必ずしも文法的な主語と一致するとは限りません。
 
というわけで、「次の10年」を主語にした英文を考えてみましょう。
 
The next decade ... 
 
日本語とはまったく異なる発想の英文になりますので、手が止まってしまった人もいると思いますが、「時期」を主語にして、「その時期に...が起こる」、「その時期に...を経験する」という英文を作るには、see という動詞が使えます。
 
したがって、次のような文ができ上がれば正解です。
 
【訳例2】
The next decade is likely to see a rise in energy prices because there is a growing demand for fossil fuels due to the less dependence on nuclear power. 
 
because 節の中で、due to を使って、化石燃料に対する需要が増えている理由を表していますが、「理由」そのものを主語で表すこともできるということは、先日の授業で話したとおりです。その点を踏まえて、because 節を書き換えてみましょう。
 
【訳例3】
The next decade is likely to see a rise in energy prices because the less dependence on nuclear power is creating a growing demand for fossil fuels. 
 
でき上がった英文は、日本語の発想とは大きく異なりますが、主節も従属節もSVOという形になっており、ネイティブの目には非常に洗練された英文に映るはずです。

一部の受講生の答案に、「は」と「が」が正しく使い分けられていないケースが見られます。

 

 

【例文1】

It is difficult to predict accurately the extent of long-term problems in the first weeks following traumatic brain injury.

 

【訳文1】

(△) 外傷性脳損傷を受けてから最初の数週間は、長期的障害の範囲を予測すること困難である。

 

上の例のように、「が」を使うべき箇所でも「は」を使ってしまうケースが典型例です。【訳文1】はやはり、次のようにすべきです。

 

【訳文1】の改善例

(○) 「外傷性脳損傷を受けてから最初の数週間は、長期的障害の範囲を予測すること困難である。」

 

生まれも育ちも日本という人であれば、話すときに「は」と「が」を間違えることはなく、無意識に区別して使うことができますが、いざ翻訳となると、なぜか間違えてしまったり、頭を抱え込んでしまったりすることがあります。その原因は、訳者が当事者でない分、翻訳対象文は話すときに比べて状況や文脈を把握しにくいことと、話し言葉よりも書き言葉の方が長いことの2点であろうと思われます。

 

「は」および「が」という2つの助詞は用法が意外に多いため、説明は簡単ではありませんが、代表的な使い分け方をできる範囲で説明してみます。

 

状況説明の「が」、主題提示の「は」

 

【例文2】

On 28 February 2001, a strong earthquake occurred in the State of Washington, U.S.. The quake was the most powerful to strike this region since 1949.

 

【訳文2】

2001年2月28日に、米国ワシントン州で大きな地震が発生した。この地震は、当地にとって1949年以来の大地震だった。 

 

最初の文では、「地震が発生した」という状況を説明しています。このような文脈では「が」を使います。後半の文では、「その地震」が話のテーマとして提示されています。このような文脈では「は」を使います。

 

英語では、冠詞の a が概ね「が」に相当し、the が概ね「は」に相当します。

 

さらに付け加えると、初出の名詞を「が」で言及するときには、文頭でいきなり述べるのではなく、周辺情報や背景情報を述べた上で「...が」と言及します。

 

【例文3】

Once upon a time, there lived an old man and an old woman in a certain place. One day the man went collecting firewood in the mountain, while the woman went washing in the river.

 

【訳文3】

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 

いきなり「おじいさんとおばあさんが...」と書き始めると唐突でびっくしりますね。やはり、「昔々」とか、「あるところに」といった周辺情報を述べた上で、「おじいさんとおばあさんが」と始めるのが自然です。

 

2文目のThe man とか the woman が「は」で言及されているのは上記説明のとおりで、「は」がともに主題提示という機能を果たしています。

 

「は」で言及された文節は、必ずしも主語になるとは限りません。【訳文1】の改善例を改めて見てみましょう。

 

「外傷性脳損傷を受けてから最初の数週間、長期的障害の範囲を予測することが困難である。」

 

文法的な主語はあくまでも「長期的障害の範囲を予測すること」であり、「最初の数週間」でないのは自明です。主題提示の「は」は、名詞以外の品詞にも使えるということです。

 

「は」と「が」の用法については、大野晋著「日本語練習帳」に詳しく、かつ分かりやすく記載されています。翻訳者なら是非とも一読しておきたい1冊です。

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This tournament will be played according to the official rules of golf.
このトーナメントは、ゴルフの公式ルールに従って行われます。

 

  

言うまでもありませんが、動詞の「従う」の活用形です。この文でしたら、according to の代わりに following も使えるでしょう。

 

【例文2】

When you are listening to a lecture, it is impossible to write down all the information presented. You therefore have to make judgments about what information is important and what is not.
講義を受けているとき、提示された情報をすべて書き留めることは不可能です。したがって受講生は、重要な情報とそうでない情報を判断する必要があります。

 

こちらの「したがって」は接続詞です。例文では therefore が使われていますが、省いても特に問題ないでしょう。

 

「したがって」という言葉には、何やら重々しい響きがありますが、therefore は次のように使うこともできます。

 

Their car was bigger and therefore more comfortable.

 

この文を「彼らのクルマの方が大きかった。したがって、より快適だった。」と訳す人はいないでしょう。「... and therefore」という形で使用されている場合には、「...なので、」と訳すと比較的上手く収まります。

 

接続詞の「したがって」は必ず文頭で使うことに加え、その後に「、」を入れることが多いことから、therefore も同じように Therefore, ... と書きたくなる人が多いと思いますが、これはあまり良くありません。例えば【例文2】を、

 

Therefore, you have to make judgments about what information is important and what is not.

 

と書くことは、文法的には何ら問題ありませんが、響きが重々しすぎて、この文脈では不適切です。

 

翻訳者にとってのバイブルとも言える名著「日本人の英語」の著者でもある明治大学のマーク・ピーターセン教授は、therefore をこのように文頭でコンマを入れて使うのは止めるのが良いと明言しています。

 

大事なことが最後になってしまいましたが、「したがって」には、このように2つの用法がありますので、動詞の場合には「従って」、接続詞の場合には「したがって」という具合に表記を変えると、見た目にも違いがはっきりして良いでしょう。

known は言うまでもなく know の過去分詞形です。know が「知っている」ですから、known も何となく「知られている」と訳したくなると思いますが、翻訳のとき、「知られている」が有効なケースは多くありません。 

 

【例文 1】

Volkswagen is known in Europe for its extraordinary services and high customer satisfaction.

(△) フォルクスワーゲンは、その卓越したサービスと高い顧客満足度で知られています

 

ダメというわけではありませんが、「有名です」くらいの方が自然かと思います。 

 

【例文 2】

You can use the list below to find out if your problem is a known issue.

(×) あなたが抱えている問題が知られているものであるかどうかは、下のリストを見ればわかります。

 

やはり、「既知のもの」などとした方が良いでしょう。 

 

【例文 3】

Rendering an advertisement to a user of the interactive television by employing an icon displayed on the screen is a known art.

(×) 画面に表示されるアイコンを用いて双方向テレビのユーザーに広告を提示することは、知られている技術である。

 

特許明細書では、「公知の技術」と訳すのが定番です。 

 

【例文 4】

This concluding section is known as the "boilerplate," providing background on the issuing company, organization, or individual.

(×) この帰結部は「ボイラープレート」として知られており、このリリースを発行した企業、組織、あるいは個人に関する背景情報を記載します。

 

known as を機械的に「...として知られている」と訳す受講生は後を絶ちませんが、as の目的語が何らかの「名称」である場合には、「...と呼ばれている」などとすべきです。したがって例文 4 は、次のように書き換えるのが良いでしょう。

 

(○) この帰結部は「ボイラープレート」と呼ばれ、このリリースを発行した企業、組織、あるいは個人に関する背景情報が記載されます。

 

蛇足ですが、文脈によっては、次のように工夫して重文を解消しても良いでしょう。単文に変えることにより、すっきりと仕上がります。

 

(○) 「ボイラープレート」と呼ばれるこの帰結部には、このリリースを発行した企業、組織、あるいは個人に関する背景情報を記載します。

 

なお、known as の目的語が「性質」や「肩書」、「評価」などであれば、「...として知られている」で問題ありません。

 

【例文 5】

Matt Sorum is known as one of the best hard rock drummers of all time.

(○) マット・ソーラムは、ハードロック史上屈指のドラマーとして知られている

【例文1】
Our toys are popular across the globe
(△) 当社のおもちゃは、世界中で人気となっています

 

 

何も違和感を覚えない人が多いと思いますが、be動詞を使って状態を表している文を「...となっています」と訳すのは、お勧めできません。

 

「...となる」は、物や状態が変化した様子を表す表現ですので、

 

「日が沈み、辺りはすっかり暗くなった。」

 

とするのはOKです。「明」から「暗」への「変化」ですね。

 

状態を表す場合にはやはり、きっぱりと「...です」と書くのが良いでしょう。【例文1】なら、

 

「当社のおもちゃは、世界中で人気があります。」 あるいは、

「当社のおもちゃは、世界中で人気を博しています。」

 

とした方がずっと力強く、簡潔です。


 

状態を表す英語の動詞としては、【例文1】でも使われているbe動詞が代表的ですが、remain や stay なども同様です。


【例文2】
Fuel prices remain unchanged despite rising costs.
(△) コストが上昇しているものの、燃料価格は不変となっている

 

「あまり良くない」というより、ほとんどジョークでしょう。「燃料価格は変わっていない」としない理由が見当たりません。


 

状態を表す際に「...となっています」と表現する傾向は、以前よりも強まってきているように感じます。話し言葉の場合には、「...です」と言い切ってしまうと、その「きっぱり」感に微妙な嫌悪感を覚える人が多からでしょうか。テレビでサッカー中継を見ていても、

 

「日本が画面右から左に攻めるという形となっています
「トップ下は●●が先発し、▲▲はベンチスタートという形になっています。」

 

みたいな実況コメントをよく耳にしますが、その度に私は小さなストレスを感じます。特に翻訳のように文字を書いて表す状況では、そのような遠慮は不要で、きっぱりと力強く、

 

「日本が画面右から左に攻めています。」
「トップ下は●●が先発し、▲▲はベンチスタートです。」

 

と書くようにしましょう。

different を見ると、「異なる」と訳したくなる人がほとんどなのではないでしょうか。しかし、「異なる」で網羅しきれない文脈・表現は少なくありません。

 

 

例文1:

Most of us try to quit smoking in different ways but fail in the end.

(△) 多くの人が、異なる方法でタバコを止めようと試みますが、結局は失敗します。

 

この例文のように、different が複数形の名詞を修飾している場合には、「さまざまな」とか「色々な」の方がしっくり来るケースが多いでしょう。

 

例文2:
Try different settings if the problem persists.

(○) それでも問題が解消しない場合には、異なる設定を試してみてください。

 

これはこれで問題ありませんが、different を動詞化して、「設定を変えてみてください」としても良さそうです。

 

例文3:
Our approach can be integrated into a variety of different systems.

(△) 当社の手法は、さまざまな異なるシステムに組み込むことができます。

 

a variety of を「さまざまな」と訳した時点で、 different の意味もほぼ網羅していますので、改めて「異なる」と訳す必要はあまりないように思います。

 

このように、同じような意味の語句を並べてある種の強調を表す修辞技法を冗語法といい、英語では Pleonasm といいます。日本語にも、「後で後悔する」など、広く使われる技法ですが、直訳すると、翻訳先の言語では不自然な響きになる場合がほとんどですので注意が必要です。

 

例文4:
The most important issue is how to have mutual understanding beyond different cultural backgrounds.

(△) 最も大切なことは、いかにして、異なる文化的背景を超えてお互いに理解し合うかということです。

 

このようなケースでは、different を名詞化し、「文化的背景の違いを超えて」の方が日本語としては自然ではないでしょうか。

 

例文5:
We offer many different kinds of insurance products for your needs.

(△) 当社は、お客様のニーズに合った多くの異なる種類の保険商品を提供しております。

 

kinds of の目的語にもよりますが、「保険商品を各種取り揃えております。」のような表現が、日本語としては最も自然かと思います。また、先ほどの a variety of different ... と同様、many different もプレオナズムの一種ですので、両方を逐一訳す必要はないでしょう。

 

different の派生語である differently も、翻訳時には副詞にこだわらない方が良いでしょう。

 

例文6:
Children and adults see the world differently.
(△) 子供と大人は世界を異なって見ている。

 

differently は、動詞化すれば概ね大丈夫かと思います。この文なら、「世界の見方が異なる」ですね。「見方が違う」としてももちろんOKです。

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Tip 17: 「で」に頼り過ぎない

カテゴリ : 
英日翻訳Tips
執筆 : 
ellersley 2012-11-30 17:10

Smartphones are displacing personal computers to be a mainstream in computer market.

 

コンピュータ市場は、スマートフォンがパソコンに代わって主流になりつつある。(場所)


【例文2】

Japanese government is trying to encourage comsumers to purchace energy-saving electric appliances by enforcing the eco-point program again.

日本政府は、エコポイントプログラムを再び実施すること省エネ家電への買い換えを促そうとしている。(手段)


【例文3】

Galleria degli Uffizi is famous for Italian Renessance art.

ウフィツィ美術館は、イタリアルネサンス絵画有名な美術館である。(理由)


便利であるがゆえに、つい多用しがちなのですが、次の例文のように、異なる用法の「で」が一文の中で混在するのは好ましくありません。


【例文4】

The company decided to verify the effectiveness of the system by trying it out in some areas.

同社は、この新制度を一部の地域試験的に導入すること、その実効性を検証することにした。


翻訳時の基本姿勢としては、「で」は、場所の言及に使用することを最優先とし、手段を表すときには、「によって」あるいは「により」、理由を表すときには、「のために」あるいは「を理由に」などが使えないか考えてみましょう。


受講生の答案を見ていると、手段を表す「で」が多用される傾向にあります。日常的表現としては特に違和感なく受け入れられていますが、少しぞんざいな印象を与えるためか、クライアントの間では好みが分かれますので、避けた方が無難でしょう。


したがって例文2は、次のように書き換えた方が良いでしょう。


【例文4の改善例】

同社は、この新制度を一部の地域で試験的に導入することにより、その実効性を検証することにした。

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