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4月5日に名古屋で行われる翻訳セミナーの案内です。

僭越ながら私も翻訳者として登壇させていただきます。実務経験の有無に関係なく、どなたでも参加できますので、よろしくご検討ください。

 

【3/18追記】

申し込みが定員に達したため、以降はキャンセル待ちの受付となります。ご了承ください。 

 

■ 日時

4月5日 (土) 10:00 - 12:00

 

■ 場所

愛知県女性総合センターウィルあいち

〒461-0016 愛知県名古屋市東区上竪杉町1

 

■ 入場料

1000円 (会場にてお支払いください)

 

■ 内容 (予定)

 

1. 社内翻訳者の立ち位置とソースクライアントの品質管理

牧野 一成 氏 (実務翻訳者、翻訳セミナー講師、大阪にて関西通翻勉強会「SKIT」主宰)

メーカー系制作会社における社内翻訳者の仕事と役割、ソースクライアントでの品質管理や翻訳会社の評価についてお話します。

 

2. 特許翻訳におけるSimplytermsの利用例の紹介 

藤岡隆浩氏(藤岡国際特許事務所所長) 

  

3. IJET-25 のここはどうなの?

IJET-25 実行委員の中澤甘菜氏が、IJETに関する疑問にお答えします。

 

4. 注意力に頼らない品質確保手法の紹介

中村泰洋 (特許・実務翻訳者、愛知大学オープンカレッジ・ビジネス英語講座講師) 

翻訳者という立場で、現在の QA フローの一部を紹介します。具体的には、自身が過去に犯した大きな失敗経験から編み出した「注意力に頼らずにミスを減らし、用語の一貫性と一定の翻訳品質を保つ方法」についてお話しする予定です。

 

■ 定員

講演者を含め24名。

 

■ 申し込み・お問い合わせ

【こちら】にて受け付けております。

 

【3/18追記】

申し込みが定員に達したため、以降のキャンセル待ちの受付となります。ご了承ください。 

  

ランチの手配や会計作業を手伝って下さる方がおられましたら、申し込み時にその旨をお書き添えください。

 

セミナー後は親睦会 (会場付近でのランチおよび名古屋城周辺での花見) を予定しております(希望者のみ)。皆様のご参加をお待ちしております。

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Can't Stop Lovin' You / Van Halen

カテゴリ : 
音楽
執筆 : 
ellersley 2013-11-23 14:20

 


 

There's a time and place for everything,
For everyone
We can push with all our might,
but nothin's gonna come
Oh no, nothin's gonna change
An' if I ask you not to try, oh could you let it be?

何にでも そして誰にでも
然るべき時期と場所がある
力いっぱい押してみても
何も巡ってこないし 何も変わらない
だからといって
努力を止めて成り行きに任せるなんてこと
できるかい?
I wanna hold you and say
We can't throw this all away
Tell me you won't go, you won't go
You have to hear me say
おまえを抱きしめて 言いたいんだ
投げ出してはいけないと
別れるなんて言わずに
俺の言葉を聞いてくれ
I can't stop lovin' you
And no matter what I say or do
You know my heart is true, oh
I can't stop lovin' you
愛さずにいられないんだ
俺が何を言おうと 何をしようと
俺の気持ちに偽りはない
おまえのことを愛さずにはいられないんだ
You can change your friends, your place in life
You can change your mind
We can change the things we say, and do any time
Oh no, but I think you'll find
That when you look inside your heart
Oh baby, I'll be there. Yeah!

友を変えること 住む場所を変えること
考えを変えること 言うことを変えること
これらはいつだってできる
おまえならわかってくれると思う
自分の心の中を覗いてみれば
俺がそこにいるってことを
Hold on. I'm holdin' on
Baby, just come on, come on, come on
I just wanna hear you say
だからくじけないで 俺もがんばるから
いいからおいでよ
おまえに言ってもらいたいんだ
I can't stop lovin' you
And no matter what you say or do
You know my heart is true, oh-oh!
I can't stop lovin' you
愛さずにいられないと
何を言おうと そして何をしようと
自分の気持ちに偽りはないと
俺のことを愛さずにはいられないんだと
Oh, I'm so twisted and tied
And all I remember, was how hard we tried
Only to surrender
もがき苦しんだ俺に思い出せるのは
どんなに必死でチャレンジしても
報われなかった記憶だけ
(Guitar Solo)  
And when it's over
I know how it's gonna be
And true love will never die
Or, not fade away
すべてが終わったとき
どんな結果が待ち受けているのか
俺にはわかっている
本当の愛は決して果てないし
色あせることもない
And I can't stop lovin' you
And no matter what I say or do
You know my heart is true, oh
I can't stop lovin' you
愛さずにいられない
俺が何を言おうと そして何をしようと
俺の気持ちに偽りはない
おまえのことを愛さずにはいられないんだ
And I know what I got to do
Hey Ray, what you said is true, oh
I can't stop lovin' you, oh no
Oh, can't stop lovin' you
何をすべきか 俺はわかっている
レイ、あなたが言ったことは本当だったよ
愛する気持ちは
どうやったって止められないってこと
 

 
翻訳: 中村泰洋

 



前回の Wind of Change が少々重たくなりすぎてしまったので、今回はスカッと爽やかな曲を取り上げてみました。米国のヴァン・ヘイレンが 1995 年に発表した10枚目のアルバム「Balance」からシングルカットされたナンバーです。


最高位は全米チャート 30 位ということで、ヴァン・ヘイレンの過去の実績から見ればやや寂しい結果と言えますが、時代が悪かったのでしょう。80 年代だったら No.1 になっていてもおかしくない曲だと思います。


ヴァン・ヘイレンは、私にとって最も「アメリカンな」バンドです。「I can't stop loving you.」なんていう、英語を習い始めたばかりの中学生でもわかる超ストレートなフレーズを全力でシャウトしても許される男は、おそらくサミー・ヘイガーだけなのではないしょうか。3:37 で浮かべる満面の笑顔と最後の投げキッスも含め、サミー・ヘイガーという人は、日本人の大半がイメージするアメリカ人男性のイメージそのものという気がします。


サミー・ヘイガーを先に取り上げてしまいましたが、バンドの中心は、バンド名の由来でもあるエディ・ヴァン・ヘイレン (G) とアレックス・ヴァン・ヘイレン (Dr) の兄弟です。


ギタリストとしてのエディの凄さはいろいろなところで語り尽くされているのでここでは敢えて触れませんが、エディは別の意味でもパイオニアです。
 

かつてロックミュージシャンというのは、いかつい顔をして無表情で演奏するのが定番でしたが、その常識を覆したのが実はエディ・ヴァン・ヘイレンだと言われています。この曲では少しはにかんだ表情をしているエディですが、若いころの PV では、超人的な技術を満面の笑顔で披露しています。


歌詞にも少し目を向けてみましょう。サビの「I can't stop loving you.」も含め、歌詞の内容は至ってシンプル。訳そうとするとそれなりに悩みますが、難しい単語は皆無ですので、解釈は容易で、高校1年生の英語の教材にそのまま使えそうです。この単純明快さが何とも「アメリカン」です。


第3ヴァースと第6ヴァースは同じ歌詞ですが、それぞれのヴァースの直前が、それぞれ「wanna hear me say」、「wanna hear you say」であることから、第3ヴァースと第6ヴァースとで、I と you に該当する人を入れ替える必要があるでしょう。原詩と同じように直接話法を使うのであれば、もちろんそんな小細工は不要です。


PV のストーリーは、女性がサルにミルクを上げている場面など、やや理解に苦しむ箇所もありますが、お約束どおりのハッピーエンドになっており、この点も何やら「アメリカン」です。


曲の終わり付近で、「レイ」なる人物が出てきます。実はこの人物、誰もが知るR&Bの大御所レイ・チャールズです。曲名を知らなくても、次の曲は誰もがどこかで聴いたことがあるでしょう。



もうわかりますね。ヴァン・ヘイレンの「Can't Stop Lovin' You」は、レイ・チャールズへのオマージュなのです。とはいえ、ここでもサミー・ヘイガーは、この偉大なる盲目のR&Bキングに対し「Hey, Ray」と気さくに呼びかけ、指を指して語りかけています。この気さくさも、何とも「アメリカン」です。


古くからのヴァン・ヘイレンファンにしてみれば、「こんなのはハードロックじゃないし、ヴァン・ヘイレンじゃない」と言いたくなるかもしれませんが、私は別に良いと思います。私はヴァン・ヘイレンというバンドが決して大好きというわけではないのですが、何の小細工も駆け引きもなく、「お前のことがとにかく大好きなんだ」と真正面からドンとぶつかって来るこの爽快感が大好きです。


これこそが、「アメリカン」ロックの神髄なのです。

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Wind Of Change / Scorpions

カテゴリ : 
音楽
執筆 : 
ellersley 2013-10-7 7:10

Words & Music:Klaus Meine

 

 

I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change
An August summer night
Soldiers passing by
Listening to the wind of change
僕はモスクワ川に沿って
ゴーリキー・パークへと歩を進める
変革の風に耳を澄まして
8月のある夜
すれ違う兵士たち
彼らもまた 変革の風に耳を傾けている
The world is closing in
Did you ever think
That we could be so close, like brothers
The future's in the air
I can feel it everywhere
Blowing with the wind of change
世界が小さくなろうとしている
お互いがまるで兄弟のように親しくなれる日を
これまで想像できただろうか?
そんな時代が目前に迫っている
僕にはそこかしこで感じられる
変革の風が吹いていることを
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが夢を見る場所
変革の風の中で
Walking down the street
Distant memories
Are buried in the past forever
I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change
街を歩けば
遠い昔の記憶はもう永遠に過去のもの
僕はモスクワ川に沿って
ゴーリキー・パークへと歩を進める
変革の風に耳を澄ませながら
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow share their dreams
With you and me
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが
一緒に夢を分かち合う場所
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが夢を見る場所
変革の風の中で
The wind of change
Blows straight into the face of time
Like a stormwind that will ring the freedom bell
For peace of mind
Let your balalaika sing
What my guitar wants to say
安らぎを求めて
自由の鐘を鳴らす烈風のごとく
変革の風が
時代の真正面に吹きつける
僕がギターで奏でるこの歌を
君もバラライカで弾いてくれ
Solo
 
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow share their dreams
With you and me
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが
一緒に夢を分かち合う場所
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが夢を見る場所
変革の風の中で
  翻訳: 中村泰洋

 歌詞はオリジナルのものです。PV では一部省略されています。

 


今回は、90年にリリースされたスコーピオンズの名曲を取り上げてみました。日本ではあまり有名でないスコーピオンズですが、ドイツではおそらく最も有名な、そして最も偉大なロックバンドです。ドイツで彼らの名を知らない人はほぼ存在しないでしょう。

 

「Wind of Change」という曲名、ドイツのバンド、「90年リリース」、「モスクワ」、「ゴーリキー・パーク」、「瞬間の魔法」、「栄光の夜」... リアルタイムでこの曲を聴かなかった人でも、容易に想像できるでしょう。この曲のテーマは、ベルリンの壁崩壊〜ソビエト連邦の崩壊に至ったあの時代です。

 

ハードロック/ヘヴィーメタルというジャンルの曲であるにもかかわらず、本国ドイツでは音楽の教科書にも載っているそうで、異国のバンドながら、全米チャート4位、全英チャート2位と、セールス的にも大きな成功を収めました。

 

今となってはなかなか想像もしにくいことですが、冷戦時代のソ連や東ドイツで、西側諸国の音楽を聞くことは許されておらず、闇ルートで取引されていた海賊版レコードを手に入れる以外にありませんでした。

 

しかし、1985年にロシア連邦の共産党書記長に就任したミハエル・ゴルバチョフが、硬直した政治体制を刷新するために、開放政策「ペレストロイカ」を推し進めます。その一環として展開されたのが、「グラスノスチ(情報公開)」です。チェルノブイリ原発事故をはじめとするさまざまな社会問題を解決するために、ゴルバチョフは、クレムリンに固く閉じ込めていた情報を積極的に公開するとともに、言論、思想、出版、集会、報道などの自由を認め、民主化を推進しました。

 

その流れに乗り、いち早く鉄のカーテンを開けて東側諸国に足を踏み入れたのが、旧西ドイツ出身のスコーピオンズでした。1988年にレニングラードのサンクトペテルブルクでコンサートを行うと、このコンサートがきっかけとなり、翌89年の8月12日には、音楽史に名を刻んだ伝説的ロックイベント「モスクワ・ミュージック・ピース・フェスティバル」が開催されます。同フェスティバルの出演は、メインアクトがボン・ジョヴィ、他にもオジー・オズボーン、モトリー・クルー、スキッド・ロウ、シンデレラといった豪華な顔ぶれで、スコーピオンズももちろん名を連ねていました。

 

海賊版でしか西側諸国の音楽を聞けなかったはずなのに、レニングラード・スタジアム (現在のルジキニ・スタジアム) で行われたこのイベントには、12万人の観客が集まったと言われています。当時のソ連政府が、この日のために天候を晴れにするロケット (いったいどんなロケットなのでしょう?) を打ち上げたというくらいですから、どれほど大きなイベントであったかが想像できるでしょう。

 

2年続けてロシアで公演を行ったスコーピオンズのクラウス・マイネ(Vo)は、前回公演から1年の間に起きた変化の大きさに驚き、変革の兆しをはっきりと感じたのだそうです。その感覚にインスパイアされてでき上がったのが、この Wind Of Change です。マイネ自身がドイツ人であったからこそ、その変化がいっそう敏感に感じられたのでしょう。

 

スコーピオンズのバラード曲には、Still Loving You や Holiday など名曲が本当に多いので、純粋に楽曲としての完成度という点から見れば、Wind Of Change はベストではないかもしれません。確かに、サビの部分はもう少し工夫が欲しかったといいますか、もう少し盛り上げて欲しかったという気もします。しかし、ハードロックという反体制的な音楽が、旧東側諸国のイデオロギーに対する文字どおり反対勢力となって一連の民主化運動の一端を担ったわけですから、やはり Wind Of Change こそが、スコーピオンズを代表する1曲ということになるのでしょう。

 

郷愁を誘うマイネの口笛も印象的ですが、最大の聴きどころは、3分手前、2番目のサビを終えて転調したところから、「... my guitar wants to say」という歌詞に続いて感動のギターソロへと突入していく展開です。まず何よりも、歌詞が素晴らしい。東西の融和ムードが一気に盛り上がったあの時代に、「オレのギターで奏でる歌を、お前のバラライカでも弾いてくれ」というメッセージに共感を覚えなかった若者はおそらく皆無でしょう。そして、my guitar wants to say...  という歌詞に続いてマティアスのギターが泣き叫ぶその美しい構成と、ドイツ人ならではの叙情旋律につい涙腺が緩んでしまうのは、決して大袈裟な表現ではありません。

 

もっとも、私がこの曲とシンクロする記憶は、付き合い始めたばかりの彼女にあっさりとフラれたことだったり、サッカー部の試合で、自分にとって唯一だった公式戦での得点機に、会心の手応えで放った25メートルのシュートがクロスバーに跳ね返されてヒーローになり損ねたことなど、含蓄豊かな歌詞とは程遠い恐ろしく低次元の出来事だったりするのですが、悲しみと希望が交錯したような叙情的なこのギターソロを今改めて聴いてみると、そこには、「悲しい歴史と決別しよう、そして一緒に未来を作っていこう」というヨーロッパの人たちの当時の思いが反映されているように感じられます。6000万回という途方も無いYouTubeの再生回数が、それを雄弁に物語っています。

 

ベルリンの壁が崩壊した1989年の11月、私は高校2年生でした。今でもよく覚えているのは、当時の担任の先生が担当していた物理の授業です。この授業では、物理ノートというのがあって、クラスの生徒全員が順番にその日の授業内容をこのノートにまとめ、まとめの末尾に、何でも良いから物理に関する質問を書いて次の人に渡すという決まりになっていました。しかし、最後の質問の部分が、何やら途中から形を変えて、生徒個人が今の思いを吐露する場になっていき、私の番が来たときには、物理の質問などという決まりは跡形も残っておらず、前の女子生徒の思いの丈が綴られていました。

 

私もその流れに乗っかって書いたのが、ディテールはもちろん忘れてしまいましたが、「ベルリンの壁が崩壊して、ドイツが統一されようとしている。何やら凄いことが起きようとしているようだけど、それは将来の自分たちにどんな影響を及ぼすのだろう。壁に向かって火炎瓶を投げているあの人たちは、年齢が近いようだけど、あの熱さは何なのだろう。情熱を持って取り組みたいことが何も見当たらない自分との温度差に少し戸惑う」といった、内容がありそうで実は何もない記述でした。将来の夢や青写真などなかった自分にとって、当然のことながら勉強へのモチベーションは低く、大学受験なんて面倒なだけで、真剣に取り組む対象ではなかったのです。

 

別に海外志向が強かったわけでもありませんが、洋楽が好きだった私は、常に海外の音楽というフィルターを通して世界を見ていました。ペレストロイカもグラスノスチも、世界史の授業ではなく、スコーピオンズを通じて入ってきました。

 

結局、洋楽好きが遠因となり、私は翻訳を仕事として選びました。そして少なくとも10年以上、この仕事に情熱を注いできましたが、その情熱も薄れつつあり、ベクトルの向きも変わりつつあります。かといって、新たな方向性は決して明確というわけではなく、試行錯誤はしばらく続くでしょう。

 

再び Wind Of Change が聴きたくなったことは、何かを暗示しているのでしょうか、それともただの偶然でしょうか。先週、仕事で2件のトラブルに見舞われました。いろいろと迷いがあることは確かです。

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They say she's gone, gone forever.
Far away from the emerald shores.
I always thought, she'd leave me never.
Forsaken heart of Inishmore.
In the hills of galway, I'll wait forever more.

 

人は云う 
彼女は遥か彼方に行ってしまったと
もう永遠に
このエメラルドの岸に戻っては来ないのだと 
僕は信じていた
彼女がずっとイニッシュモアにいてくれると
置き去りにされたこの想い...
でも僕は待ち続ける
ゴルウェイの丘で

翻訳: 中村泰洋


 
初めて聴いた方、いかがでしょうか。美しい曲でしょう。
 
タイトルの Inishmore というのは、アイルランド西部に浮かぶ島の名前です。Riot は米国のバンドですが、曲のモチーフになっているのは、19世紀にアイルランドを襲った大飢饉です。イニッシュモア島を含めたアイルランド西部は特にそのダメージが大きく、多くの民が飢饉から逃れるために祖国を後にしたと言われています。主人公の少年が想いを寄せていた少女も例外ではなく、この曲では、2 度と戻らぬ彼女を待ち続ける少年の想いが謡われています。
 
Riot はマーク・リアリ (G) を中心に、1970 年代から活動している長寿バンドです。ただ、リアリは 2012 年 1 月に亡くなっていますので、「活動していた」と言った方が良いかもしれません。バンド自体は存続しているようですが、リアリのいない Riot など、イニエスタのいないスペイン代表と同じで、リアリは替えの利かない存在だからです。そういう意味で、98 年に川崎クラブチッタで行われた日本公演のサウンドチェックの様子を収録したこの動画は貴重でしょう。映像もサウンドも驚くほどクリアで、真剣な表情の中にも、本番とは違うリラックスした雰囲気が伝わってきます。ちなみに、RIOT にはギタリストが 2 人いますが、向かって左側、メガネをかけた細身の人がマーク・リアリです。
 
リアリは米国人ですが、前世が日本人だったのではないかと思えるほど、彼の紡ぎ出すメロディは、日本人の感性をビリビリと刺激する独特の哀愁と叙情感に満ちています。その特殊な音楽性ゆえ、本国アメリカではセールスに恵まれておらず、おそらく日本における知名度の方が高いのではないでしょうか。実際、キャリアの初期から日本との結び付きが強く、「NARITA」や「Tokyo Rose」といった曲も過去に発表しています。
 
マーク・リアリがいれば Riot というバンドは成り立つのですが、Riot は実にメンバーチェンジが多いバンドで、リアリ以外のメンバーは極めて流動的です。97 年に発表されたこのアルバムでは、マイク・ディメオという人物がヴォーカルを務めていますが、彼は Riot の歴史において 4 人目のヴォーカリストです。過去のヴォーカルと比べて長く在籍したディメオですが、Wikipedia によると彼も 2005 年に脱退しており、その後は前任のトニー・ムーアを迎えているようです。
 
私は RIOT を過去に一度だけ生で見たことがあります。1996 年だったか 97 年だったか記憶が定かでないのですが、Inishmore がリリースされる前だったと思います。会場が今池のボトムラインだったのは間違いありません。ボトムラインは観客席のない典型的なライブハウスで、結構寒い時期だったのに、すし詰めの会場が生み出す熱気で汗だくになりながら、彼らの素晴らしい楽曲を堪能しました。ショウの終わりに、ヴォーカルのマイク・ディメオに「素晴らしいショウだったよ。ありがとう」と叫ぶと、彼は非常に喜んで、私とガッチリと握手を交わしてくれたことを今でもよく覚えています。
 
さて、Inishmore に戻りましょう。絶望と覚悟が交錯したような複雑なリズムに乗せてケルト色溢れる美しくも激しいメロディがひとしきり奏でられた後、突如として心休まる穏やかな楽曲に切り替わります。ほとんどの人がどこかでこの曲を耳にしたことがあるでしょう。これはアイルランドの民謡で「Danny Boy」という曲です。小学生の頃に下校時のテーマソング (?) として使われていたことを思い出す人も多いでしょう。そのせいでしょうか。日本人である私たちでさえ、なぜか懐かしさを覚えます。コブシの効いた Riot 独特の演歌調アレンジも含め、ハードロックやヘヴィーメタルを聴いたことのない人でも素直に受け入れられる 1 曲かと思います。
 
以前にこのブログで Pretty Maids の「Please Don't Leave Me」を紹介した時、アイルランドを旅したときのことに触れました。私がアイルランドにいつか行ってみたいと思うきっかけになったのが「Please Don't Leave Me」だったのは間違いないのですが、Riot が 1997 年発表したこのアルバム (といいますかこの曲) を聴いて、私はその思いを一層強くし、2006 年にようやく訪れることができました。
 
初めて訪れたアイルランドは、都心から少し離れると、なだらかな緑の丘が幾重にも連なっており、穏やかな空気に包まれていました。夕暮れ時に車窓から望む丘陵地はまさに Danny Boy の世界で、悠久の時間がゆったりと流れているイメージどおりの景色でした。
 
「いつになるかわからないが、今度は家族 4 人でイニッシュモア島に行こう。」
 
この曲を聴いていたら、そんな希望が沸々と沸き上がってくるのでした。 
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The Answer / Richie Sambora

カテゴリ : 
音楽
執筆 : 
ellersley 2013-5-28 9:41

Words & Music: Richie Sambora 

 

 

The lightning flashed as angels
Rode fiery chargers through the clouds
That answer scared me into tears
And all the grownups laughed out loud

 

稲妻が瞬くと同時に 雲の間から
天使が凄まじい雷鳴を轟かせた 

恐怖に怯えて泣きじゃくる僕を
大人はみな笑い飛ばしていた

 

Now the years roll on, tired voices have all gone
Now they ride their thunder through the heavens

 

歳月が流れ 聞き飽きた声もいつしか止み
今は天国から雷鳴が響くだけ

 

There's a world in every drop of rain
Embracing oceans sweep us home again
Come along with me, come along with me
Seek the truth, you shall not find another lie

 

雨粒にもそれぞれに世界がある
それらが大海原となって
また僕たちを一気に流し去る
僕と一緒においで 一緒に真実を探そう
別の嘘を探すんじゃない

 

They say for every living thing
There's a guide up in the sky
That helps you pass from world to world
So you never really die

 

生きし物はすべて
天の導きを受けるらしい
でも それによって生きる世界が変わるだけで
君は決して死ぬわけじゃない

 

Then with scythe and cloak
Death comes waltzing to your side
As the visions pass you ask
If there was meaning to your life
As you strain to hear the answer,
spirits sing, and devils fiddle
As he bends to whisper in your hear,
he leaves you one more riddle

 

鎌を手に マントを纏い
死が君の側に歩み寄ってくる
視界が開けると 君は
自分の人生に意味はあったのかと問う
耳を澄ませて答えを求めれば
魂が謳い 悪魔がからかう
悪魔は君の耳元で囁き
君にまた1つ謎を残していく

 

Oh, the answer lies beyond the pain
All the questions in our minds,
we surely ask in vain
Come along with me, come along with me
Seek the truth, and you shall find another life

 

答えは この痛みの向こう側
心の中の疑問に問いかけても無駄なこと
僕と一緒においで
そして一緒に真実を探そう
別の人生が待っているよ

 

And now my life is like a storm
Growing stronger every day
Like the unrelenting wind
That comes to blow our lives away
So I live each day like I know it's my last
If there is no future there must be no past

 

僕の人生は
日々激しさを増す嵐のよう
この吹き荒れる強風のように
僕たちの人生を吹き飛ばしに来る
だから僕は 今日が最後と思って毎日を生きる
未来がないのなら 過去だってあるはずがない

 

Now I know the answers never meant a thing
And with each instant that I breathe
I feel the joy that life can bring
Come along with me, come along with me
Seek the truth, you shall not find another lie
Come along with me, come along with me
Seek the truth, you shall not find another lie

 

答えは決して1つじゃない
僕は今 一息ごとに
人生がもたらし得る喜びを感じている
僕と一緒においで 一緒に真実を探そう
別の嘘を探すんじゃない
僕と一緒においで 
別の嘘を探すのは止めて
一緒に真実を探そう

 

  翻訳: 中村泰洋

 


リッチー・サンボラ? 誰それ? と思われた方も多いと思いますが、リッチー・サンボラは Bon Jovi のギタリストであり、ヴォーカルのジョンと並び、バンドのもう 1 つの顔とも言える中心メンバーです。日本ではジョンに隠れ、知名度が今ひとつのリッチーですが、本国アメリカでの人気は高く、その音楽センスも高く評価されています。

 

この曲は、リッチーが 1991 年に発表した初のソロアルバム「Stranger in This Town」のラスト (ボーナストラックを除く) を締めくくる 1 曲です。昔何かのコマーシャルに使われていたような記憶があって YouTube を漁ってみたところ、スバルの CM に使われていたことが判明しました。映像のイメージにピッタリですね。「Please don't leave me」のときと同様、またしても YouTube がその凄さを私に痛感させてくれました。

 

1:59 から始まる 3 本の CM にこの曲が使われています。

 

私は普段からこの曲を聴いているわけではありません。というより、ふと思うところがあって、おそらくはほぼ 20 年ぶりに聴いたわけですが、私はリッチーの世界観に完全に引き込まれ、曲が終わってからもしばらくその余韻から抜け出せませんでした。

 

心が洗われるようなこの清涼感。聴き終えた後、いつまでも清々しさが残ります。当時から良いバラードだという印象は抱いていましたが、交錯する思いが増えた分、当時よりも一層心の琴線に響きます。

 

メロディの良さもさることながら、特筆すべきはリッチーの歌唱です。Bon Jovi の曲でもバックコーラスでその艶のある声と歌唱力を時折り耳にすることができますが、この曲では、ヴォーカルがエコー処理されて広がりを持たせていることもあり、声質の良さが一層際立っています。

 

リッチーの音楽的性向は、bluesy/earthy とでも形容すれば良いのでしょうか。この 1 曲からは、そんな雰囲気が伝わってくると同時に、それがジョンのテイストとは全く別物であるということがわかります。以前に紹介した Bon Jovi の「Lie To Me」は、この「リッチーらしさ」がフィーチャーされた好例と言えるでしょう。

 

歌詞に目を向けてみましょう。非常に大きなテーマを取り扱っており、その深みはマリアナ海溝に匹敵します。含蓄がありすぎて私には意味がよくわからない隠喩も見られます。

thunder/lightning と angels、Death と waltzing、spirits sing と devils fiddle のように対義語を並べたレトリックは対照法または対句法と呼ばれ、英語では antithesis と言うのですが、ここでは、対照表現によって歌詞を彩り豊かにするばかりでなく、リッチーがこの曲に込めた「the answers never meant a thing」というメッセージを一層浮き立たせているようにも感じられます。このアルバムには、Bon Jovi の盟友デイヴィッド・ブライアンをはじめ、ダイアン・ウォーレンやデズモンド・チャイルドといった米国の超大物作詞家/プロデューサーも参加しているようなので、「The Ansewr」の歌詞がリッチーの手によるものかどうかわかりませんが、いずれにせよ、多様なレトリックが精巧に折り重ねられた素晴らしい詩だと思います。

 

心の悩みにいくら問いかけても無駄なこと。

その答えは 1 つじゃないし、答えはその苦しみを超えたところにある。

だから大切なことは、今日が最後と思って毎日を精一杯生きること。

 

そのようなメッセージは、言ってみれば古今東西に共通する普遍的な思想であり、良識ある大人であれば、なかなか実行できないだけで誰もが認識していることだと思いますが、親や友達や上司が言ってもダメで、リッチーが美しい曲に乗せて言ってくれて、ようやく私に伝わります。色んな意味で人生の岐路に立たされたことが間違いない今の自分を優しく諭し、勇気を与えてくれます。

 

近年のリッチーは、Bon Jovi のツアーを突然離脱したり、妻子ある身にもかかわらずデニス・リチャーズと不倫関係に陥ったり、アルコール依存のために更生施設でリハビリを受けたりするなど、この曲のメッセージとはやや乖離した行動が目立ちますが、こんな素晴らしい思想の持ち主ですので、きっと近いうちに改心してくれることでしょう。

 

温故知新とはまさにこのこと。生涯にわたって愛聴したい曲がまた 1 曲増えました。

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