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前回の授業で、辞書について少し言及しました。


言うまでもないことですが、私のように10年以上の経験がある翻訳者でも、辞書は使います。しかも、10年前と比べて辞書を引く頻度が落ちているわけでもなく、もしかしたら増えているかもしれません。


10年前と今とでは、翻訳者としての力量はまったく異なりますが、新しいことを知れば、その分新たにわからないことが出てくるので、翻訳者にとって、辞書は永遠の伴侶ということになるのでしょう。


ただし、受講生と私とでは、使う辞書も引き方も大きく異なります。


多くの受講生が持っている携帯型の辞書は、値段も手頃で携帯性に優れ、多数の辞書が収録されているなど、なかなかの優れモノのようですが、職業翻訳者がこれを使うことはまずありません。


理由は2つあります。携帯型電子辞書は、あくまでも学習者をターゲットにしており、翻訳者が仕事で使用するには、質量共に不十分であることが1つ。そしてもう1つの理由は、翻訳作業がパソコンで行われるのに対し、携帯型電子辞書はパソコンと連携していないということです。


では職業翻訳者はどうしているかといいますと、自分のパソコンに辞書をインストールして使います。昔は紙の辞書を机に何冊も並べて引いていましたが、原稿が完全に電子化され、翻訳の全工程がパソコンでの作業になったことに伴い、辞書もパソコンで引くのが一般的になりました。


パソコンに辞書をインストールすることには、大きなメリットがあります。それは、調べたい単語を自分で入力しなくてよいということです。原稿上の単語をコピーして貼り付ければよいので、辞書引きにかかる時間と手間が大幅に軽減されます。辞書を引くのが楽になるので、その分辞書を引く回数も増えるという好循環が生まれます。


その他にも、携帯型電子辞書とは異なり、必要に応じて辞書をどんどん追加していけるというのも大きなメリットです。


語義の確認などのために、私が授業中によく辞書を引いて見せているのは、以前から受講されている方であればよくご存知のことと思います。その際、文字入力はおろか、コピーとかペーストをしている様子もなく、何やら一瞬のうちに辞書画面に切り換わって意味がポップアップしたり、意味がザーッと一覧形式で表示されたりすることに気付いている方も少なくないでしょう。実はあれは、パソコンだからこそできるワザです。


続きは次回です。

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新学期講座のテキスト完成

カテゴリ : 
翻訳
執筆 : 
ellersley 2010-3-31 22:25

10日から始まる新学期で使用するテキストを今日書き終えました。


一部のトライアル課題に、世相を反映したタイムリーな文章を採用しました。


また、一部の短文翻訳課題に、まったく新しいトピックを導入しました。


今期から新たに受講される方はもちろん、継続して受講される方にも満足してもらえるテキストができたと感じています。


新学期の準備は概ね整いました。10日の開講が楽しみです。

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トラックが無料!?

カテゴリ : 
翻訳
執筆 : 
ellersley 2009-9-21 8:54

実家の近くにある園芸店の案内板です。



「トラックの無料貸出し」だろ...


修飾語句は明瞭・正確に対応付けましょう。 

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冗長な日本語

カテゴリ : 
翻訳
執筆 : 
ellersley 2009-8-16 9:23

自宅近くに、公共の駐輪場があります。月極め契約が基本のようですが、一時利用もできます。駐輪場の入り口に立て看板が置いてあり、文字板を差し替えることによって一時利用が可能かどうかを示しているのですが、私はここを通る度に、いかにもお役所的なその冗長表現が気になってしまいます。


- 利用可能のとき


---------立て看板(実際は縦書き)---------

一時利用は

ただいま利用できます。

------------------------------------


- 利用不可のとき(赤字が差替え板)


----------立て看板------------

一時利用は

ただいま
利用できません。

--------------------------------


「利用は利用できます。」って...そして異常に無駄な重複の多い差替え板。業者と役所のグレーな関係が見え隠れしていると感じるのは気のせいでしょうか。


ではどうすれば良いのか。受講生なら簡単に答えられることでしょう。


--------------------------------------

ただいま一時利用できます。

--------------------------------------

ただいま一時利用できません

--------------------------------------


が正解です。

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トライアルという名の鬼門

カテゴリ : 
翻訳
執筆 : 
ellersley 2009-7-21 9:15

 

私のような個人翻訳者が新たな仕事を獲得するときに最も一般的な手段が、「トライアル」と呼ばれる試験です。トライアルというのは、翻訳会社各社が独自に用意している翻訳者採用テストのことで、応募してきた翻訳者の履歴書や職務経歴書などを見た上で、一定の水準を満たしている翻訳者に対して課す実技試験です。

 

分量は400〜1000ワード程度というところが多く、通常は無償です。自社で取り扱っている分野に合わせて複数のトライアルを用意しており、翻訳者の方で選択できるようになっているところが多いようです。また、基礎的な翻訳力を診断するために、一般的なトピックの文章の翻訳や短文の翻訳を併せて課すところも少なくありません。納期に縛られるという仕事の性質上、トライアルには提出期限が設けられることが多く、受け取ってから1週間程度で提出するように求められることが一般的です。

 

このトライアルに合格すれば、その会社の登録翻訳者としてリストに登録されるわけですが、トライアルを受ける時点では、仕事はまだはるか先です。まず、トライアルで出題される文章は、高度に専門的であることが多く、その分野での翻訳経験がなければ、ほぼ太刀打ち不可能です。そのため、トライアルを送付してもその後ナシのつぶてということも少なくないと聞きます。また、トライアル答案を評価するに当たっては、訳文のクオリティに加え、次のよな点も厳しく審査されています。

 

  • メールの文面や対応が常識的な水準にあるか。
  • 誤字、脱字、変換ミスなどがないか。
  • 仕様や指示に準拠しているか。

例:
- ファイル名には名前と日付を入れてください。
- 答案の右上に名前を入れてください。
- 英数字は半角で入力してください。
- 英数字と全角文字の間には半角スペースを入れてください。
- テキストファイルで納品してください。
- 提出の際、メールのタイトルは「トライアル答案の提出」としてください。

 

そのような事情もあり、トライアルの合格率は10%程度と言われています。

 

さて、トライアルの分野が運良く自分の得意分野と一致し、格闘の末にその10%の合格者の中に入ったとしましょう。その後翻訳会社から条件を提示され、納得のいくものであれば請負契約を結び、登録翻訳者として晴れてその会社に登録されることになるわけですが、必ずしも「登録」 = 「仕事の獲得」とは限らないことを肝に銘じておく必要があります。翻訳会社は常に優秀な翻訳者を求めており、差し当たって受注の予定がなくても翻訳者を募集していることが少なくないからです。登録されたということは、「将来的に仕事が依頼される可能性がある」ということを意味するに過ぎません。どこの会社でも数十人から数百人の登録翻訳者を抱えており、新たな合格者はその中の1人になるだけのことです。

 

その後忘れたころに、自分の得意分野である仕事をその翻訳会社が受注し、300人の登録翻訳者の中から運良く選ばれ、小さな仕事の打診を受けたとしましょう。この時が最大のチャンスです。ここで相手の要求水準を満たす仕事ができれば、リピートオーダーにつながります。ただし、もしここで良い仕事ができなかった場合、もう次のチャンスはないと思って良いでしょう。あなたは、その会社で名前だけが登録されている幽霊翻訳者ということになります。他の仕事があって依頼を断らざるを得なかった場合もほぼ同様の結果が待ち受けていることでしょう。

 

トライアルに合格すれば、早晩1回はチャンスが回ってくる可能性が高いのですが、このチャンスを活かせるかどうかは、運にも左右されると思います。1回目の打診が、必ずしも自分の得意分野の仕事であるとは限らないからです。断れば、次が来る可能性は非常に低くなるので、よほどのことがない限り、受けるしかないでしょう。そうなった場合、その後の結果はほぼ本人の予想どおりとなります。しかし逆の見方をすれば、1社からリピートオーダーを受けられれば、道は大きく開かれることでしょう。

 

仕事への道のりはこのように狭くて長いため、1度トライアルに不合格になったからといって落胆する必要はありません。日本には翻訳会社が1,200社程度存在すると言われています。メーカーの翻訳部門や特許事務所の翻訳セクション、海外の翻訳会社なども含めれば、チャンスは無数にあると言えますので、敗因を分析して次のチャンスに備えましょう。

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