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Wind Of Change / Scorpions

カテゴリ : 
音楽
執筆 : 
ellersley 2013-10-7 7:10

Words & Music:Klaus Meine

 

 

I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change
An August summer night
Soldiers passing by
Listening to the wind of change
僕はモスクワ川に沿って
ゴーリキー・パークへと歩を進める
変革の風に耳を澄まして
8月のある夜
すれ違う兵士たち
彼らもまた 変革の風に耳を傾けている
The world is closing in
Did you ever think
That we could be so close, like brothers
The future's in the air
I can feel it everywhere
Blowing with the wind of change
世界が小さくなろうとしている
お互いがまるで兄弟のように親しくなれる日を
これまで想像できただろうか?
そんな時代が目前に迫っている
僕にはそこかしこで感じられる
変革の風が吹いていることを
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが夢を見る場所
変革の風の中で
Walking down the street
Distant memories
Are buried in the past forever
I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change
街を歩けば
遠い昔の記憶はもう永遠に過去のもの
僕はモスクワ川に沿って
ゴーリキー・パークへと歩を進める
変革の風に耳を澄ませながら
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow share their dreams
With you and me
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが
一緒に夢を分かち合う場所
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが夢を見る場所
変革の風の中で
The wind of change
Blows straight into the face of time
Like a stormwind that will ring the freedom bell
For peace of mind
Let your balalaika sing
What my guitar wants to say
安らぎを求めて
自由の鐘を鳴らす烈風のごとく
変革の風が
時代の真正面に吹きつける
僕がギターで奏でるこの歌を
君もバラライカで弾いてくれ
Solo
 
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow share their dreams
With you and me
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが
一緒に夢を分かち合う場所
瞬間の魔法へと 僕を誘っておくれよ
栄光の夜に
そこは 未来の子どもたちが夢を見る場所
変革の風の中で
  翻訳: 中村泰洋

 歌詞はオリジナルのものです。PV では一部省略されています。

 


今回は、90年にリリースされたスコーピオンズの名曲を取り上げてみました。日本ではあまり有名でないスコーピオンズですが、ドイツではおそらく最も有名な、そして最も偉大なロックバンドです。ドイツで彼らの名を知らない人はほぼ存在しないでしょう。

 

「Wind of Change」という曲名、ドイツのバンド、「90年リリース」、「モスクワ」、「ゴーリキー・パーク」、「瞬間の魔法」、「栄光の夜」... リアルタイムでこの曲を聴かなかった人でも、容易に想像できるでしょう。この曲のテーマは、ベルリンの壁崩壊〜ソビエト連邦の崩壊に至ったあの時代です。

 

ハードロック/ヘヴィーメタルというジャンルの曲であるにもかかわらず、本国ドイツでは音楽の教科書にも載っているそうで、異国のバンドながら、全米チャート4位、全英チャート2位と、セールス的にも大きな成功を収めました。

 

今となってはなかなか想像もしにくいことですが、冷戦時代のソ連や東ドイツで、西側諸国の音楽を聞くことは許されておらず、闇ルートで取引されていた海賊版レコードを手に入れる以外にありませんでした。

 

しかし、1985年にロシア連邦の共産党書記長に就任したミハエル・ゴルバチョフが、硬直した政治体制を刷新するために、開放政策「ペレストロイカ」を推し進めます。その一環として展開されたのが、「グラスノスチ(情報公開)」です。チェルノブイリ原発事故をはじめとするさまざまな社会問題を解決するために、ゴルバチョフは、クレムリンに固く閉じ込めていた情報を積極的に公開するとともに、言論、思想、出版、集会、報道などの自由を認め、民主化を推進しました。

 

その流れに乗り、いち早く鉄のカーテンを開けて東側諸国に足を踏み入れたのが、旧西ドイツ出身のスコーピオンズでした。1988年にレニングラードのサンクトペテルブルクでコンサートを行うと、このコンサートがきっかけとなり、翌89年の8月12日には、音楽史に名を刻んだ伝説的ロックイベント「モスクワ・ミュージック・ピース・フェスティバル」が開催されます。同フェスティバルの出演は、メインアクトがボン・ジョヴィ、他にもオジー・オズボーン、モトリー・クルー、スキッド・ロウ、シンデレラといった豪華な顔ぶれで、スコーピオンズももちろん名を連ねていました。

 

海賊版でしか西側諸国の音楽を聞けなかったはずなのに、レニングラード・スタジアム (現在のルジキニ・スタジアム) で行われたこのイベントには、12万人の観客が集まったと言われています。当時のソ連政府が、この日のために天候を晴れにするロケット (いったいどんなロケットなのでしょう?) を打ち上げたというくらいですから、どれほど大きなイベントであったかが想像できるでしょう。

 

2年続けてロシアで公演を行ったスコーピオンズのクラウス・マイネ(Vo)は、前回公演から1年の間に起きた変化の大きさに驚き、変革の兆しをはっきりと感じたのだそうです。その感覚にインスパイアされてでき上がったのが、この Wind Of Change です。マイネ自身がドイツ人であったからこそ、その変化がいっそう敏感に感じられたのでしょう。

 

スコーピオンズのバラード曲には、Still Loving You や Holiday など名曲が本当に多いので、純粋に楽曲としての完成度という点から見れば、Wind Of Change はベストではないかもしれません。確かに、サビの部分はもう少し工夫が欲しかったといいますか、もう少し盛り上げて欲しかったという気もします。しかし、ハードロックという反体制的な音楽が、旧東側諸国のイデオロギーに対する文字どおり反対勢力となって一連の民主化運動の一端を担ったわけですから、やはり Wind Of Change こそが、スコーピオンズを代表する1曲ということになるのでしょう。

 

郷愁を誘うマイネの口笛も印象的ですが、最大の聴きどころは、3分手前、2番目のサビを終えて転調したところから、「... my guitar wants to say」という歌詞に続いて感動のギターソロへと突入していく展開です。まず何よりも、歌詞が素晴らしい。東西の融和ムードが一気に盛り上がったあの時代に、「オレのギターで奏でる歌を、お前のバラライカでも弾いてくれ」というメッセージに共感を覚えなかった若者はおそらく皆無でしょう。そして、my guitar wants to say...  という歌詞に続いてマティアスのギターが泣き叫ぶその美しい構成と、ドイツ人ならではの叙情旋律につい涙腺が緩んでしまうのは、決して大袈裟な表現ではありません。

 

もっとも、私がこの曲とシンクロする記憶は、付き合い始めたばかりの彼女にあっさりとフラれたことだったり、サッカー部の試合で、自分にとって唯一だった公式戦での得点機に、会心の手応えで放った25メートルのシュートがクロスバーに跳ね返されてヒーローになり損ねたことなど、含蓄豊かな歌詞とは程遠い恐ろしく低次元の出来事だったりするのですが、悲しみと希望が交錯したような叙情的なこのギターソロを今改めて聴いてみると、そこには、「悲しい歴史と決別しよう、そして一緒に未来を作っていこう」というヨーロッパの人たちの当時の思いが反映されているように感じられます。6000万回という途方も無いYouTubeの再生回数が、それを雄弁に物語っています。

 

ベルリンの壁が崩壊した1989年の11月、私は高校2年生でした。今でもよく覚えているのは、当時の担任の先生が担当していた物理の授業です。この授業では、物理ノートというのがあって、クラスの生徒全員が順番にその日の授業内容をこのノートにまとめ、まとめの末尾に、何でも良いから物理に関する質問を書いて次の人に渡すという決まりになっていました。しかし、最後の質問の部分が、何やら途中から形を変えて、生徒個人が今の思いを吐露する場になっていき、私の番が来たときには、物理の質問などという決まりは跡形も残っておらず、前の女子生徒の思いの丈が綴られていました。

 

私もその流れに乗っかって書いたのが、ディテールはもちろん忘れてしまいましたが、「ベルリンの壁が崩壊して、ドイツが統一されようとしている。何やら凄いことが起きようとしているようだけど、それは将来の自分たちにどんな影響を及ぼすのだろう。壁に向かって火炎瓶を投げているあの人たちは、年齢が近いようだけど、あの熱さは何なのだろう。情熱を持って取り組みたいことが何も見当たらない自分との温度差に少し戸惑う」といった、内容がありそうで実は何もない記述でした。将来の夢や青写真などなかった自分にとって、当然のことながら勉強へのモチベーションは低く、大学受験なんて面倒なだけで、真剣に取り組む対象ではなかったのです。

 

別に海外志向が強かったわけでもありませんが、洋楽が好きだった私は、常に海外の音楽というフィルターを通して世界を見ていました。ペレストロイカもグラスノスチも、世界史の授業ではなく、スコーピオンズを通じて入ってきました。

 

結局、洋楽好きが遠因となり、私は翻訳を仕事として選びました。そして少なくとも10年以上、この仕事に情熱を注いできましたが、その情熱も薄れつつあり、ベクトルの向きも変わりつつあります。かといって、新たな方向性は決して明確というわけではなく、試行錯誤はしばらく続くでしょう。

 

再び Wind Of Change が聴きたくなったことは、何かを暗示しているのでしょうか、それともただの偶然でしょうか。先週、仕事で2件のトラブルに見舞われました。いろいろと迷いがあることは確かです。

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