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TELL ME / Vow Wow

カテゴリ : 
音楽
執筆 : 
ellersley 2011-12-23 7:21

Words: Spence Alex

Music: 山本 恭司

 

 

I'll take you for a ride
Through the dark and empty streets
All through the night
Racing with the moon
I don't know what to say
I don't know what we're gonna do
Keep driving on
Till the morning comes
 
さあ乗りな
人影のない真っ暗な道を駆け抜け
夜通し走り続けるんだ
月と競争さ
何が待ち受けているか
そんなことはわからない
ただ朝まで走り続けるだけさ
 
We can't go on,
knowing that the dream has gone
your suspicious mind,
searching for a sign
You're heading down a dead-end street
 
夢が破れたと知ってしまったら
もう生きてはいけない
おまえは疑念に囚われながら
手がかりを求め
先のない道を突き進んでいる
 
Tell me what you want
Tell me what you need
Please make up your mind
Leave the past behind
Open up the door
 
何が欲しいのか 何が必要なのか
教えてくれ
覚悟を決めるんだ
そして過去と決別して
未来への扉を開くのさ
 
Tell me from your heart
Tell me what you feel
Truth is deep inside
Secrets you can't hide
Throw them all away
It's all up to you 
おまえの心の叫びを
そしておまえの気持ちを
訊かせてくれ
真実は心の奥底に潜んでいる
隠しておけない秘密なんて捨ててしまえ
すべてはおまえ次第だ
 
The eyes that turn to stone
When I look behind the mask
Where evil sits
Waiting for the time
 
仮面の下を覗き込めば
冷酷な瞳が
邪悪な眼差しで
静かに時期をうかがっている
 
It's been so long,
since we started going wrong
You can light the spark,
come out of the dark
together through the longest night
 
道を誤ってから
ずいぶん経っちまった
でも 火を灯し 暗闇から抜け出して
この長い夜を一緒に突き抜ければいい
 
Tell me what you want
Tell me what you need
Please make up your mind
Leave the past behind
Open up the door
 
何が欲しいのか 何が必要なのか
教えてくれ
覚悟を決めるんだ
そして過去と決別して
未来への扉を開くのさ
 
Tell me from your heart
Tell me what you feel
Truth is deep inside
Secrets you can't hide
Throw them all away
 

おまえの心の叫びを
そしておまえの気持ちを
訊かせてくれ
真実は心の奥底に潜んでいる
隠しておけない秘密なんて
捨ててしまえ
 

- Solo -
 
 
Tell me what you want
Tell me what you need
Please make up your mind
Leave the past behind
Open up the door
 
何が欲しいのか 何が必要なのか
教えてくれ
覚悟を決めるんだ
そして過去と決別して
未来への扉を開くのさ
 
Tell me from your heart
Tell me what you feel
Truth is deep inside
Secrets you can't hide
Throw them all away
 
おまえの心の叫びを
そしておまえの気持ちを
訊かせてくれ
真実は心の奥底に潜んでいる
隠しておけない秘密なんて
捨ててしまえ
 
  翻訳: 中村泰洋

 

私には、いつの時代も変わらず好きな曲が 3 曲あります。一般的には、自身の成長に伴って、あるいはその時に置かれている境遇によって好きな曲も変わってくるものですが、その3曲については、いつの時代も、どんな境遇であっても、その中で順位が変わることはあっても、私のリストから漏れることがありません。ここで紹介する「Tell Me」は、そんな 3 大名曲群、ライフタイムアンセムの1つです。

 

この曲は、以前に紹介した I'm Gonna Sing The Blues と同様、Vow Wow が 1990 年に発表した『Mountain Top』というアルバムに収録されていたボーナストラックです。

 

このアルバムは、私が生まれて 2 番目に買った CD です。当時高校 3 年生。わずか 5000 円という毎月の小遣いの中から、3000 円もする国内版 CD を買うことは特別なことでした。

 

良く晴れた春の日で、放課後に 1 人黙々と歩いて向かったのは、当時昭和区の御器所に店を構えていた DISC HEAVEN という HR/HM 系専門のレコード店。狭い店内に CD やレコードが所狭しと並んでいて、CD がギチギチに並んでいる白い棚から『Mountain Top』を引っ張り出し、昼食時間や部活のときに買うパンやジュースを節約して貯めた 3000 円を、背中まで髪を伸ばしたいかにもな風貌の店長に差し出し、ビニール袋に入れてもらって店を出るまでの一連のプロセスを、今でも鮮明に記憶しています。

 

『Mountain Top』は、すでに英国で高評価を得ていた Vow Wow が、本丸であった米国市場への進出を目論んで制作した意欲作です。プロデューサーに、KISS や ALICE COOPER のプロデュースですでに名を馳せていた大物ボブ・エズリンを迎えるなど、万全の体制を敷きましたが、残念ながら米国のレーベルとの契約を獲得することはできず、Vow Wow は解散に追い込まれました。その後メンバーを変えてオリジナルの Bow Wow という名前で 2 度再結成されていますが、私にとっての Vow Wow は 1990 年で終わっています。

 

この「Tell Me」と「I'm Gonna Sing The Blues」は、あくまでも日本のファン向けのボーナストラックであり、米国版(実際にはリリースされなかったわけですが)には入っていません。やはりちょっと「シブ過ぎ」て、米国では受け入れられないと判断されたのでしょう。しかしこの2曲は、ともに当時の TV CM (それぞれ昭和シェル石油とスキーのヴィクトリア) に採用され、ファンの間で語り継がれる名曲となりました。壮大なスケールと、哀愁漂う湿ったメロディ。英国的な雰囲気が漂うボーナストラックにこそ、Vow Wow の魅力が凝縮されていたというのは皮肉な結果でした。

 

イントロのギターは、何かが起こりそうな緊張感を早くも抱かせます。しばらくして入ってくる「ダン・ダン、ダンダカダン」というベースとドラムのリズムに、「ヤバいぞこれは。来るぞ来るぞ」という高揚感を抑えきれません。そしてヴォーカルは改めて言及する必要なし。いつもの人見節です。歌メロはひたすら美しく、過ぎ去った日々へのノスタルジアを一気に高めます。そしてサビでは、Vow Wow の真骨頂である分厚いキーボードとコーラスが畳みかけてきます。圧巻はギターソロ。哀愁溢れるメロディを複雑なピッキングで炸裂させた後、最後にグワーッと音階を昇っていってバーンとサビに入っていくこの展開に、私は何度カタルシスを覚えたかわかりません。このように、「起承転結がはっきりしていてドラマチックに展開し、ウェットでメランコリックでありながら疾走感に溢れた曲」が私は堪らなく好きなのです。Bon Jovi の Born to be My Baby が同系列ですね。

 

● ● ●

 

今から10年ほど前だったと思います。当時初めて作成した自分の個人的なWebサイトで「I'm Gonna Sing The Blues」とその訳詞を紹介したときに、帯広在住というある方からメールをいただきました (名字も覚えていますが、ここでは T さんとしておきます)。

 

「親しい友人が病に倒れ、助かる見込みは低い。だから今生の別れの前に、彼が何とか動けるうちに、想い出の詰まった Tell Me をみんなで一緒に演奏したいが、CD がすでに廃盤となっていて手に入らない。面識もない方にお願いする非礼は重々承知しており恐縮だが、あなたが大切にしている『Mountain Top』のCDを、少しの間だけ私に貸していただけないだろうか。」

 

そういう内容でした。学生の頃にきっとバンド活動をやっていらしたのでしょう。私が急いで CD を郵送すると、1 週間後に丁寧な礼状とともに返送されてきました。

 

それから数か月後、その方からまたメールが来て、「彼は奇跡的に回復した」と報告してくれました。一度もお会いすることはありませんでしたが、一連のやりとりに使われた文体は折り目正しく、その洗練された文面からは、他者への配慮と親友への友情が滲み出ていて本当に素晴らしい方でした。

 

しかし私は、その報告に返信をしませんでした。穿った見方をしすぎたのかもしれませんが、「回復した」というは、もしかしたら、面識のない私に余計な気をつかわせないための、T さんなりの配慮なのかもしれない。メールの文面から、何となく微妙にそんな印象を感じ取ったからです。もし私の邪推が正しかったら、

 

「元気になられて良かったですね。」

 

などという文面は、T さんにとって苦痛以外の何物でもない。そう思うと、とても返信する気になれなかったのです。

 

● ● ●

 

商業的には成功しませんでしたが、『Mountain Top』は素晴らしいアルバムでした。Vow Wow は、欧米から入ってきたヘヴィーメタルという音楽に、日本人独特の感性を注入し、独自の世界観を構築して、オリジナリティ溢れるロックミュージックへと昇華させました。米国で受け入れられなかったのは、単にテイストが違ったからであって、そこは Vow Wow のマーケットではなかったということです。

 

私はおそらく、死ぬまでこの曲を愛聴し続けると思います。

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