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Secret / HEART - 20 年越しの再発見

カテゴリ : 
音楽
執筆 : 
ellersley 2011-9-26 15:39

以前のブログで、HEART の In Walks The Night という曲を紹介し、その中で、HEART のサウンドについて、80 年代のコマーシャルサウンドよりも、ロック路線に回帰してからのサウンドの方が好みだと書きました。

 

しかしその後、「待てよ。80 年代の HEART について、好みを判断するほど聴いていないのではないか。知っているのも数曲のヒットナンバーだけだし」と思うようになりました。そして、そんなことを思い始めたら、80 年代の作品をどうしても聴きたくなりました。

 

HEART は 1970 年代から活動している長老バンドなので、代表作といっても、世代によって、あるいは個人の音楽嗜好によって異なりますが、多くのファンが挙げるのが、90 年に発表された「BRIGADE」です。

 

前々作『HEART』から These Dreams が、そして前作『Bad Animals』からも Alone が全米チャートで No.1 を記録し、大きな期待とプレッシャーの中で製作・発表された(であろう)BRIGADE は、80 年代のコマーシャルサウンドを凝縮した集大成とも言える 1 枚です(90 年発表なので、厳密にいえば 80 年代ではないのですが、HEART の歴史を考えると、80 年代のサウンドに括られます)。

 

当時高校生だった私は、このアルバムを(レンタルですが)リアルタイムで聴きました。確かに聴いたはずなのですが、ほとんど印象に残っていません。当時の私にとって、音楽といえばハードロック/ ヘヴィーメタルであって、「こんな売れ線狙いのポップロックなんて聴けるか」という先入観があり、HEART を受け入れる準備ができていなかったのだと思います。

 

今ごろになって無性に聴きたくなり、Yahoo!オークションで BRIGADE を探してみたら、ありました。豪華なスウェードジャケットに入った初回限定版がたったの 1,000 円。この初回限定版には、最近すっかり見かけなくなった 8cm CD が付属しており、ボーナストラック 3 曲が収録されています。こちらもきちんと入っていました。これはまさしく、高校生の頃、私が部活帰りに毎日のように立ち寄っていた SOUND 4343 植田店でレンタルしたパッケージです。

 

Brigade 日本限定特別パッケージ

 

豪華スウェードジャケット

 

落札から数日。届いた CD から流れてきた音楽は、...

 

ああやっぱり...

 

オープニングチューン Wild Child のイントロから、もう凄すぎて、言葉になりません。当時より下されていた名作との評価に違わぬ素晴らしいサウンドでした。

 

粒揃いの佳曲ばかりで、1 曲だけを選ぶのも難しいのですが、その中から、今回は Secret を取り上げたいと思います。

 

Secret / HEART

Words: Franne Golde

Music: Bruce Roberts

 

 

We lead two different lives
Just like two lines that never cross
And here we are together
Standing closer than we are
But we're still standing here untouched
Too scared to make a move
We want so much to touch
And we can't wait forever
We know it's dangerous
For us to be together

 

決して出逢うはずのない人生を歩んできた2人
そんな私たちが
今ここで一緒にいる
触れ合うほどの距離だけど
触れ合ってはいない
動きたくても 怖くてできない
早く触れたい 待ちきれない思いなのに
つながり合うのは危険だと
お互いわかっている

 

How do we ever keep this secret
How do we keep it in the dark
And if we dare to taste our weakness
How could we tear ourselves apart
Why do we keep this love together
Didn't we know right from the start
That we would have to keep this secret
Or forever stay apart

 

どうすれば、この秘密を守れるの
どうすれば、隠しておけるの
互いの弱みを認め合ってしまったら
どうやって別れたらいいの
秘密にしておくことができないのなら
永遠に別れるしかない
そんなこと
最初から分かっていたはず

I watch you coming to me
Walking in the pouring rain
I can't help looking at you
Wishing I could stay away
So many times I've tried in vain
To close my eyes and pray it goes away
But I can't stop myself from feeling
To let you go would be too much
For me to take

 

降りしきる雨の中
あなたが歩いてくる
離れていたいと思いつつも
目を向けずにはいられない
目を閉じて、気持ちを振り払おうとしたけど
何度やってもダメだった
あなたと別れるなんて
あまりにも辛すぎるから

 

 

How do we ever keep this secret
How do we keep it in the dark
And if we dare to taste our weakness
How could we tear ourselves apart
Why do we keep this love together
Didn't we know right from the start
That we would have to keep this secret
Or forever stay apart

 

どうすれば、この秘密を守れるの
どうすれば、隠しておけるの
互いの弱みを認め合ってしまったら
どうやって別れたらいいの
秘密にしておくことができないのなら
永遠に別れるしかない
そんなこと
最初から分かっていたはず

 

Solo

 

 

I can't help thinking
When I look into your eyes
How much I need you
It's so hard to hide

 

あなたの瞳を覗き込むと
隠しきれない想いの大きさを
感じずにはいられない

 

How do we ever keep this secret
How do we keep it in the dark
And if we dare to taste our weakness
How could we tear ourselves apart
Why do we keep this love together
Didn't we know right from the start
That we would have to keep this secret

 

どうすれば、この秘密を守れるの
どうすれば、隠しておけるの
互いの弱みを認め合ってしまったら
どうやって別れたらいいの
秘密にしておくことができないのなら
永遠に別れるしかない
そんなこと
最初から分かっていたはず

 

  翻訳: 中村泰洋

 

切ない。切なすぎる。ピアノで始まるロックバラードは、Motley Crue の You're All I Need 然り、Guns 'N' Roses の November Rain 然り、私の琴線に触れることが多くて基本的に好きなのですが、哀愁極まりないこの美旋律もまた、例に漏れず私の涙腺を緩めました。

 

「浮気ソング」というジャンルにおいて、これまで私は、サザンオールスターズの「秘密のデート」こそが史上最高傑作と定義していましたが、ナンバーワンは入れ替わりました。そして、アン・ウィルソンが Why do we keep this LO〜VE とシャウトした瞬間に、禁断の恋に落ちたこの歌の主人公を許すと共に、「これは浮気を越えた究極の浮気、つまり本気である」と解釈するに至りました。

 

最大の聴きどころは、ハワード・リースが奏でる美しいギターソロからサビに至る展開です。特に、ギターソロ直後のヴァースで、アンが「Woo I can't help thinking...」と入っていくところが実に感動的。女性ヴォーカルでありながら、声量が大きくて力強いというアンの声質が、曲の切なさを一層引き立てているように感じます。

 

アン・ウィルソンが 1950 年生まれということなので、当時のメンバーは全員がおそらく 40 歳前後と思われます。このような曲は、やはりある程度齢を重ねてこそ歌えるものであり、このくらいの年齢になってこそ理解できる世界観というのがあるのだと、当時のハートの年齢に達した私は思うのです。この曲を、例えばいきものがかりの吉岡聖恵が歌っても、おそらくしっくり来ないでしょう。逆に、亡くなる直前のテレサ・テンが歌っていたら、それはもう、「別れの予感」をも超越する稀代の名曲になっていたかもしれません。

 

英語で書かれたラブソングを日本語に訳すと、何となく白々しくなるといいますか、気恥ずかしい感じになってしまいます。それはきっと、私たち日本人が、以心伝心という独自のコミュニケーション手段を持っており、「言霊」というユニークな概念を古より継承しているからでしょう。普通の日本人なら言葉に表さず、言外に匂わせるメッセージが、文字という明確な形でくっきりと浮かび上がってきてしまうと、何となく抵抗感を感じてしまうのだと思います。

 

プロモーションビデオの映像から、日本で撮影されたものであることがわかります。BRIGADE のリリースに伴うツアーで来日したときに撮ったのでしょう。1990 年ごろの街や人の様子もまた、ある種のノスタルジアを誘います。

 

「そんなに良いなら、ちょっと聴いてみたいな」

 

と思う人がいるかどうかわかりませんが、もしいれば、お貸しします(現あるいは元受講生に限ります)。

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