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翻訳分野の決め方・選び方

カテゴリ : 
翻訳
執筆 : 
ellersley 2009-6-21 16:36

一般に翻訳というと、多くの人が文芸作品や映画の字幕・吹き替えなどを連想しますが、翻訳市場の98%は、企業の経済活動の中で発生するマニュアルや仕様書、コレポンや契約書といった産業翻訳です。ただ、一口に産業翻訳といっても、自動車産業、IT 産業、教育産業、娯楽産業など、日本にはさまざまな産業が存在し、1人の翻訳者がすべての産業分野に関して高い水準の翻訳を提供することは不可能なため、専業の翻訳者になろうとすると、どうしても専門分野が必要になります。


文系出身者、たとえば英語が好きで、その延長として翻訳をやりたいと考える人が翻訳市場に参入しようとする場合、この専門分野というのが大きな障害となります。なぜなら、産業翻訳に英語という分野は存在しないからです。英語は単なる前提条件として存在しているだけです。


ちなみに私は、コンピュータ・通信・ネットワークといった分野を一応専門分野としています。とはいえ、コンピュータのことなら何でもわかるというわけではなく、せいぜい簡単なプログラムが書け、自分でパソコンを組み立てて動かすことができ、無線LANや光ファイバーケーブル、家庭内LANなどの設定が、人の手を借りずに自分でできるという程度です。翻訳者としての専門分野というのは、別にその道のプロである必要はなく、「わからないことはたくさんあるけど、調べればどうにか翻訳はできる」という程度でOKです。


専門分野を選ぶに当たっては、自身がキャリアや興味を通じて造詣のある分野を選ぶのが理想的です。クルマが好きなら、自動車関連の翻訳をやるのが言うまでもなくベストでしょう。少なくとも、勉強が苦痛でない分野を選ぶべきであって、「仕事が多くて稼げそうだから」という理由だけで選ぶべきではありません。コンピュータやネットワークといった分野は、確かに仕事が多い分野ですが、コンピュータが嫌いな人や苦手な人がコンピュータ関連の翻訳をやろうとしても無理があって勉強が続きませんし、好きでやっている人に勝ち目がありません。


しかし、自分にとって興味や造詣のある分野に、翻訳としての市場性がない場合や極めて低い場合があります。たとえば、美術が好きな場合、翻訳としての市場性は確かに低いでしょう。しかし、決してあきらめてはいけません。ないと思っていても、決してゼロというわけではなく、どこかで仕事が発生している可能性は高いのです。また、直接関係がなくても、輸入画材道具や、モンマルトル観光ガイドのような関連案件が出てくる場合もあります。アンテナを常に張っておけば、引っかかる可能性は十分にあります。


マイナー分野の仕事が舞い込んできた経験は、私自身も持っています。私はサッカーが好きなのですが、翻訳で生計を立てるようになっても、長らくサッカー関連の仕事などありませんでした。しかしあるときに、サッカーの試合内容を分析する英国のソフトウェアを日本語に翻訳するという仕事を戴き、その後も2002年日韓ワールドカップ招致委員会の仕事などが時々入ってくるようになりました。さらに2005年には、欧州サッカー連盟(UEFA)公式Webサイト日本語翻訳チームのメンバーに採用され、2007年まで、試合レポートや移籍情報の翻訳を日常的に手がける機会に恵まれました。また、サッカーだけでなく、野球やモータースポーツ関連の仕事の打診も受けるようになり、実際に何件かの仕事を手がけました。サッカーは、翻訳分野としては極めてニッチですが、手がける人も少ないので、上手にアピールしておけば、仕事が発生したときに意外に回ってきやすいという面があるようです。


自分の好きな分野に仕事として携われるというのは、翻訳者の1つの特権であると思います。しかも、100%コミットすることがなく、時々入ってくるという状況がまた良いのです。好きな仕事でも、毎日やっていると飽きてしまいますが、時々なので興味と楽しさが長続きするのです。私は今、「いつかグランパスエイトと仕事をする」という目標を持っています。


現在勉強中の人も、「いつか○○の翻訳をやろう」という希望を持っておくと、モチベーションが長続きして、良い結果につながりやすいのではないかと思います。

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